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2017年3月26日(日)

主張

介護保険負担増

利用者の痛み なぜ分からない

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 介護保険の利用料負担の引き上げが、高齢者や家族の暮らしを直撃していることが問題になっています。一昨年実施された一定所得以上の人の2割負担化などの影響で、特別養護老人ホームを退所したケースが相次いでいることが介護施設団体などの調査でも浮き彫りになっています。それにもかかわらず、安倍晋三政権は今国会に、介護保険に初めて3割負担を導入することなどを盛り込んだ改定法案を提出し、成立を狙っています。利用者や家族の痛みの大きさが分からないのか。介護の安心を壊す改悪は中止すべきです。

深刻な「支払い困難」退所

 介護保険の利用料は2000年の制度発足以来、ずっと1割負担でした。ところが安倍政権は一昨年8月、一定の所得以上の人(単身世帯では年金収入等280万円以上)の利用料を2割へと引き上げました。当時、厚生労働省は“余裕のある人”が対象などと説明していましたが、同時に食費・居住費の負担増も実施されたことも重なり、実施直後から「認知症の人と家族の会」の調査では、“こつこつ蓄えてきた老後の資金がみるみる減っていく”“負担が増えて生活が成り立たない”などの悲痛な声が寄せられました。

 介護施設運営者でつくる「21世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会」が最近発表した調査結果でも、事態の深刻さは明らかです。同連絡会が昨年秋に実施した特養へのアンケート調査では、「支払い困難を理由に退所」した人がいたのは101施設にのぼり、「利用料の滞納」をした人がいたのは206施設もあったことが分かりました(1589特養から回答)。入所すること自体が困難な特養に、せっかく入ることができても、負担増によって退所せざるをえなくなる―。利用者・家族にとってこれほどつらい仕打ちはありません。ところが厚労省はあくまで“負担増でも利用者数に大きな変化はない”と言い張ります。実態を無視した無責任な姿勢です。

 安倍政権が国会に提出した介護保険改悪法案は、利用者・家族の暮らしに追い打ちをかけるものです。法案は現在2割負担の45万人の中で、年金収入等340万円以上(単身世帯の場合)などの人を来年8月から3割負担にするなどとしています。対象は現在約12万人で、厚労省は「特に所得の高い層だ」と盛んに強調します。しかし、“余裕がある人”といって2割負担を実施したことによって特養退所者をうみだした事実は、3割負担が利用者に与える影響は軽視できないことを示しています。

 介護保険の利用料をめぐっては、財務省などは「原則2割負担」を繰り返し要求しており、今回の「3割負担」導入が、利用料引き上げに向けた“突破口”にされる危険があります。道理のない利用者負担増の中止・撤回こそ必要です。

税の集め方・使い方変え

 27日にも成立する17年度予算は、高齢者を中心に医療分野の負担増が目白押しです。それに続き介護でも国民に負担増を迫る法案を押し通そうとする安倍政権のやり方はあまりに異常です。

 大企業や大資産家などに応分の負担を求めるなどすれば社会保障財源は確保できます。税金の集め方、使い方を根本的に改め、社会保障を再生・充実させる政治にしていくことが重要です。


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