2017年3月23日(木)
森友疑惑
基準満たさず「認可適当」?
大阪府と国 二人三脚で推進
大阪府の審査基準を満たしていなかったのに、府は学校法人「森友学園」(大阪市)が豊中市に小学校を新設する認可申請を私学審議会(私学審)にかけ、「認可適当」の答申にこぎ着けていたことが問題となり、松井一郎知事(日本維新の会代表)も「検証が必要」と口にせざるを得なくなっています。
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大阪府の「私立小学校及び中学校の設立認可等に関する審査基準」によると、校地は「自己所有であること」が原則です。所有者が国、地方公共団体などの公共的団体である場合は例外的に借地を認めていますが、借地の上に校舎を建てることはできません。
前例ない事態
森友学園が小学校設立の認可申請をした2014年10月31日時点で、学園は土地の自己所有も借地契約もしていません。「認可基準に照らせば認可申請を受け付けないと思う。大阪で過去にそのような事例はあったのか」との日本共産党の石川多枝府議の質問に府私学課長も「過去に事例はございません」(13日の府議会教育常任委員会)と認めています。
なぜ前例のないことが起きたのか。学園が小学校を建設しようとしたのは豊中市の国有地です。国有地を取得するには国有財産近畿地方審議会に、小学校設置認可には府私学審にかける必要がありました。
石川府議の追及に府側は「どちらの審議が先か。いわゆるニワトリかタマゴの問題」(私学課長)、「形式的な対応をすると、どちらも門前払いになってしまう。国の方からは、学校用地でないと契約できない、私学審の結果が出れば、国の評価審議会にかけると伺っていたので、私学審に諮らせていただいた」(私学監)と答弁(同)。門前払いになるケースを国と大阪府の二人三脚で認可の軌道に乗せたということです。
懸念や疑問が
「認可適当」とした15年1月27日の私学審。議事録をみると、「入学者が確保できるのか」「本当に校舎が建つのか」「収支上、ウルトラC以上のすごい実態になる」「こんな絵空事がうまくいくとは私はとても思えない」という懸念や疑問が噴出。学園の土地所有についても議論になりました。
事務局は「本審議会での認可の条件は土地が所有できるということ」とした上で「(本審議会で)条件付きで認可しかるべしとなりますと、国は契約に走ると、そういう手はずになっています」と説明しました。しかも、国との契約は「10年間の定期借地契約を行った上で、その契約期間内に購入予約をするという内容」でした。これは、借地の上に校舎を建てられないという審査基準に反するものです。にもかかわらず、条件付きながら「認可適当」になりました。
松井知事は21日、記者団に「規則以外のことをやっている」と認める一方、「借地と同時に売却の契約を国と森友学園がやっているので、それを受けて土地所有とみなした。完全に規則違反なのか検証が必要」「私学課の判断はあり得るのかなとは思う」とのべました。しかし、私学審が「認可適当」の判断をした時点では、まだ契約は締結されていませんでした。森友学園が国と定期借地契約(期間内の売買予約付き)を締結したのは4カ月後の15年5月29日、1億3400万円で土地の売買契約を締結したのは16年6月20日です。
基準を逸脱してまで森友学園を優遇したことがうかがえます。