2017年3月22日(水)
内心処罰の違憲立法
「共謀罪」法案を閣議決定
「密告」の奨励 国民監視強まる
安倍内閣は21日、国民の内心を処罰する「共謀罪」法案を閣議決定し、国会に提出しました。今国会で成立をはかる構えです。外遊中の安倍晋三首相欠席のまま臨時代理決裁で決定しました。
過去3回廃案となった「共謀罪」法案の国会再提出の動きに対し、日弁連や刑法学者、憲法学者らを含む広範な国民の批判が強まっていますが、安倍内閣は4度目の国会提出を強行しました。
「共謀罪」の対象犯罪は277にのぼり、2人以上で犯罪の実行を「計画」するだけで処罰の対象となります。「思っただけでは犯罪にならない」という近代刑法の原則の大転換です。
政府は「テロ対策」を「共謀罪」導入の口実にしてきました。しかし当初の政府原案には「テロ」の文言はなく、説明との食い違いが指摘され、最終案になって「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」の文言が挿入されました。
他方、「目的」を規定した法案1条には「テロ」の文言はありません。本来の立法理由は「国際組織犯罪防止条約」の批准にあり、「テロ対策」の説明には矛盾があるためです。
法案では、自首したものに刑の減軽免除を定め「密告」を奨励。また、共謀の摘発のためには盗聴などの捜査権限の拡大が不可避となります。日常的に国民監視が強まり、国民の内心の自由が侵される危険があります。
もともと3月上旬を目指してきた閣議決定は大きくずれ込み、法案の審議入りは4月中旬になる見通しです。夏の都議選(6月23日告示・7月2日投票)を控え、6月18日までの国会は大幅延長が難しい状況ですが、自民党の二階俊博幹事長は「提出した以上成立を目指して頑張る」と述べ、国民世論に挑戦する姿勢を明確にしました。