2017年3月20日(月)
豊洲地下水 高濃度汚染を確定
都専門家会議 “9回目調査は適切”
東京都が築地市場(中央区)の移転先としている豊洲新市場予定地(江東区、東京ガス豊洲工場跡地)の土壌汚染問題で、都の専門家会議(平田健正座長)は19日、第5回会合を開き、暫定値としていた地下水モニタリングの9回目の結果を確定値とすると確認しました。高濃度の有害物質の検出値が確定したことで、都の土壌汚染対策が失敗し、深刻な汚染が残っていることが裏付けられました。
9回目(最終、1月14日発表)の地下水モニタリングでは環境基準の79倍のベンゼン、検出されないことが基準の猛毒のシアン化合物、基準を上回るヒ素を検出。8回目までの結果と大きく異なっていたため、同会議は再調査していました。
再調査では、採水した全26地点で環境基準を超える有害物質を検出。環境基準が1リットル当たり0・01ミリグラムのベンゼンは、最高でその100倍、ヒ素は最高で同3・6倍、不検出が基準のシアンは最高で1リットル当たり1・4ミリグラムを検出しました。
また、9回目の調査は環境省のガイドラインに従って適切に行われていたことを確認しました。
9回目で濃度が上がった要因について同会議は、地下水管理システムの稼働で地下水の動きが変化した影響や、都の調査で把握できず、土壌汚染対策で掘削されていない海抜2メートル以深の土壌に残っている汚染が影響している可能性を指摘しました。
9回目の調査では採水に先立つ排水と採水を同日中に行ったのに対し、1〜8回目では排水から採水まで1〜2日も置いたことについて、同会議は試験の結果、時間を置くことで濃度に大きな影響はなかったとしました。
小池百合子都知事は、豊洲移転の可否は今回の結果などを踏まえ、総合的に判断するとしています。
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移転計画破たん明白
共産党都議団 大山幹事長が談話
日本共産党東京都議団の大山とも子幹事長は19日、豊洲新市場予定地の地下水の再調査結果について、談話を発表しました。要旨を紹介します。
9回目の地下水モニタリング調査に続く今回の再調査結果は、豊洲新市場予定地に高濃度の土壌汚染が残されている実態を示しており、有害物質の除去は困難であることを示すものです。何よりも安全・安心を確保すべき市場を深刻な土壌汚染地に移転する計画の破綻は明白です。東京ガス豊洲工場跡地への移転を強引に進めてきた石原慎太郎元知事らはもとより、一緒に推進してきた自民党、公明党などの責任も厳しく問われます。
わが党は、小池知事が築地市場の豊洲移転の中止を決断するとともに、この間長く放置されてきた築地市場の老朽化対策などに緊急に取り組むことを強く望むものです。
同時に、日本共産党都議団は、東京ガス豊洲工場跡地への移転に一貫して反対してきた党として、豊洲移転をめぐる闇をただすために引き続き全力を尽くす決意です。