2017年3月17日(金)
南スーダンPKO日報
ありえない「破棄」決定
笠井質問裏付け 組織的隠ぺい
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陸上自衛隊の南スーダンPKO(国連平和維持活動)派遣部隊が作成していた「日報」について、防衛省が「破棄した」として不開示決定した後も、陸自内に保存されていた可能性が濃厚になりました。
そもそも、「日報」など海外派遣に関する報告資料は陸自のデータベースに貴重な資料として保存されています。
日本共産党の笠井亮議員が2月14日の衆院予算委員会で明らかにした、2014年に陸上自衛隊研究本部が作成した「南スーダン派遣部隊に係る教訓要報」と題した文書によれば、隊内で閲覧可能な「教訓センターデータベース(CGLLDB)」が存在。「過去の派遣や訓練などの教訓が蓄積されており、陸上自衛隊指揮システム等で閲覧可能」としています。しかも、「容易に検索できる機能」が追加され、あるキーワードを入力して検索すれば、「関係する教訓が一覧で閲覧が可能」となっています。
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同文書を示した笠井氏は「今回の日報もこのデータベースにあったのではないか」と追及。これに対して稲田朋美防衛相は答弁不能になり、「後日回答する」と逃げました。その直後、防衛省は報道陣に、「当該データベースに保管されていなかった」と異例の説明を行いました。
しかし、同省の通達(10年3月2日付)では、「部隊等からの聞き取りから得られた成果」は「不測事態で失われることがないよう複数の媒体の使用に努める」としており、仮にデータベースから削除しても、他の媒体に保存されていた可能性はあります。実際、統合幕僚監部はデータベースからすべてダウンロードして保存していました。他の部隊も今後の教訓を得るために保存していたと考えるのが自然です。
それを、「破棄した」との決定との整合性を図るために複数の媒体からすべて消去したとすれば、組織的な隠ぺい工作にほかなりません。存在する文書を「破棄した」として厳しく批判された「護衛艦たちかぜ自衛官いじめ自殺事件」(04年)の教訓を何も学んでいないことになります。防衛相を経験した与党幹部からも「記録は残しておくべきだ。消去するのはおかしい」との苦言が出されました。
稲田朋美防衛相は16日、陸上自衛隊に対して「特別防衛監察」を実施すると指示しました。調査自体は必要ですが、時間がかかる監察の実施は稲田氏の延命工作でしかありません。防衛省・自衛隊は「破棄した」とした後も陸自に日報が存在していたことをただちに認め、稲田氏は即刻、辞任すべきです。
(竹下岳)