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2017年3月11日(土)

主張

東日本大震災6年

国は支援を弱めてはならない

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 約2万人の死者・行方不明者をだした東日本大震災から6年です。大地震と巨大津波、東京電力福島第1原発事故が重なった大規模災害は広範囲に甚大な被害を与え、今なお12万人以上が避難生活を強いられています。復興の歩みも遅れ、避難の長期化の中で、被災者の抱える問題は複雑化し、深刻の度を増しています。

 安倍晋三政権が被災地への支援を縮小する動きに出ていることに、被災者の不安といらだちが募ります。支えを必要とする人がいる限り、政治が支援の手を弱めることがあってはなりません。

家賃の増加に将来不安も

 自宅再建が困難な被災者向けの災害公営住宅は、東北3県でもようやく目標の7〜8割が完成しました。仮設住宅から真新しい住宅に移ったのも束の間、多くの被災者が「家賃支払い」の苦しさを訴えます。家賃のない仮設と異なり、公営住宅では家賃が発生するためです。国は“激変緩和”として10年期限の減免措置を設けましたが、入居6年目から段階的に上がり、11年目は今の3倍になる例もあります。年金暮らしの高齢者や仕事が確保できず収入が不安定な人たちは展望が見えません。国は減免延長や家賃補助など仕組みの見直しを急ぐべきです。

 老朽化がすすむプレハブ仮設住宅に3万5千人が暮らし続けています。住環境の改善など、きめ細かな対応が必要です。応急修理の制度を使ったため仮設や災害公営住宅に入れず、「壁が段ボール」「風呂は壊れたまま」などの状態で暮らす在宅被災者を放置し続けることはできません。「住まいの安心」を保障することなくして、被災地の復興はできません。支援金の引き上げや対象拡大など被災者生活再建支援法の拡充こそ求められています。

 長引く避難生活は被災者の心身を疲弊させています。宮城県民医連が県内4市3町の災害公営住宅で実施した被災者調査でも、生活上の不安のトップが「健康」でした。被災者支援に取り組む「みやぎ県民センター」には「津波ですべてを失いました。いま大腸がんで大変です」「職を失い、不安で精神安定剤が欠かせません」と悲鳴が寄せられ、医療費・介護利用料の軽減の切実さを浮き彫りにしています。国が打ち切った減免制度の復活は急務です。

 被災者への支援の立ち遅れがはなはだしいのに、安倍政権は「復興は新たなステージ」などと支援から手を引く姿勢です。16年度からは「被災自治体の『自立』」を理由に、復興事業費の一部を地元自治体に負担させています。

 収束しない原発事故でふるさとを追われた福島の被災者に対し「事故は終わった」と言わんばかりに、原発を推進し、避難指示解除と賠償・支援打ち切りをセットで押し付ける政府・東電のやり方は許されません。

従来の制度にとらわれず

 6年たって、住まいでも生業(なりわい)でも被災者の困難が打開できないのは、政治がその苦難に真剣に向き合ってこなかったためです。

 未曽有の災害には、従来の制度にとらわれない柔軟で大胆な見直しが必要なのに、怠ってきた政府の姿勢が問われます。「私たちの苦しみを繰り返してほしくない」。この被災地の声に応えるのが“災害大国”の政治の責任です。


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