2017年3月11日(土)
南スーダン自衛隊撤収へ
違憲派兵 大破たん 国民世論・運動が追い込む
政府は10日夕、国家安全保障会議(NSC)を首相官邸で開き、南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派兵している陸上自衛隊を5月末に撤収させることを決めました。陸自が活動している首都ジュバの情勢悪化について国会で野党の追及を受け、国民の世論と運動の盛り上がりの中、撤収に追い込まれたものです。
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安倍政権は憲法9条破壊の安保法制=戦争法の最初の具体化として、昨年11月に派遣された第11次派遣部隊に「駆け付け警護」など新任務を付与。「海外で戦争する国」づくりの第一歩にすることを狙っていましたが、大破綻に追い込まれました。
安倍晋三首相はNSC終了後に記者会見し、「現在従事している道路整備が終わる5月目途に活動を終了する」と表明。ただ、撤収の理由については「南スーダンの国づくりが新たな段階を迎える中、自衛隊が担当しているジュバの施設整備が一定の区切りをつけることができると判断した」と述べるにとどまりました。菅義偉官房長官は会見で「治安の悪化を理由とするものではない」と述べました。
南スーダンPKO司令部への要員派遣は継続する方針ですが、実動部隊が途絶えることになります。海外派兵路線そのものも深刻なゆきづまりに直面しました。
政府は南スーダンについて、「紛争当事者間の停戦合意」などPKO参加5原則は維持されていると説明してきました。しかし、昨年7月にジュバで発生した大規模な武力衝突について記した日報に「戦闘」と明記していたことが判明。日報そのものも一時隠ぺいしていたこととあわせ、厳しい批判にさらされていました。
南スーダンへのPKO派兵は2012年に始まり、今年1月で5年を迎えました。施設部隊の隊員数は、約350人。第1次隊から第11次隊までのべ3854人にのぼります。