2017年3月10日(金)
中間層重視の政策を
参院予算委 公述人が意見陳述
大門氏が質問
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参院予算委員会は9日、2017年度予算案に関する中央公聴会を開きました。「経済・財政・社会保障」をめぐって、横浜国立大学の萩原伸次郎名誉教授、慶応義塾大学の井手英策教授らが意見陳述を行いました。
萩原氏は、アベノミクスの実践にもかかわらず成果は乏しいとして、「その原因は、安倍政権の経済政策の基本が『富裕層重視の経済政策』になっており、『中間層重視の経済政策』になっていないところにある」と指摘。米オバマ政権が最低賃金を大幅アップし、税制の応能負担を提唱した背景を詳しく解説し、経済政策の転換を求めました。
また、井手氏は、所得制限などを設けずに社会保障の給付を行うことで、富裕層や中間層の増税に対する理解が得られると主張。「あらゆる人々を受益者にするという戦略は、格差を小さくし、経済の成長率を高めていく」と主張しました。
日本共産党の大門実紀史議員は、福祉・社会保障分野の市場化の影響などを質問。井手氏は「市場化は、価格競争に力点が置かれるが、品質の保障はされない」と指摘し、萩原氏は「医療・福祉など、市場メカニズムで律することのできない分野が存在する。その重要性が認識され、議論されることが大切だ」と述べました。
井上氏が質問
一方、「外交・安全保障」をめぐり、日本共産党の井上哲士議員は、オバマ政権時代の対北朝鮮政策(「戦略的忍耐」)の変更を検討するトランプ米新政権の動きについて質問しました。
慶応義塾大学の小此木政夫名誉教授は「どれも過去にやったオプションで、自信をもって一つの政策を打ち出せるかどうかは疑問だ」と指摘。今後、朝鮮半島で南北対話が進む可能性に言及しつつ、「日本にできることは限界があるが、できるだけ平和的に事態を収拾していく必要がある」と述べました。