2017年3月10日(金)
森友学園 公金詐取の疑い
建築費異なる三つの契約書
虚偽報告や経歴詐称も
学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題をめぐり、同学園の国と大阪府への報告金額の食い違いや事実と異なる提出資料の実態が次々に明らかになり、「公金詐取」の疑いも出ています。自民党や公明党は「違法性が明らかでない」などとして、日本共産党など野党4党による同学園の籠池泰典理事長らの国会招致を拒否していますが、その不当な拒否理由も成り立たない事態となっています。
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「公金詐取」の疑いがもたれているのは、国の補助金です。同学園が大阪府豊中市に新設予定の小学校建築について、金額だけが違う三つの工事請負契約書があることがわかりました。日付はいずれも「平成27年(2015年)12月3日」です。
5645万円を支給
学園側は府教育庁には7億5600万円とする工事請負契約書を提出していました。ところが、補助金を申請した国土交通省には23億8464万円とする契約書を提出していました。国交省は6194万円を限度額として交付を決定し、これまでに5645万円を支給していました。
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もうひとつは、小学校建設予定地に近い大阪(伊丹)空港を運営する「関西エアポート」に提出した契約書で、約15億5千万円でした。航空機の騒音障害の防止に関する法に基づき、約1億5千万円の助成金を申請しました。
学園の籠池理事長は9日、記者団に改めて府に示した7億5600万円が正しいと明言しました。これが事実とすれば国には実際より3倍近い金額を示して補助金を引き出したことになります。
過少に報告か
学園側は8日付の小学校のホームページで、国と空港会社に示した工事請負代金額は「上振れ分を十分見込んで申請」したもので、「補助金を詐取したのではないか」という疑いは「全くの誤解」と釈明しています。
一方、松井一郎知事は9日、施工業者は建築費について「関西エアポート」に提出された契約書にある約15億5千万円が正しいとしていることを明らかにしました。同契約書には「これが最終決定額」とされていました。この数字が正しいとすると、学園側の債務見込み額が膨らみ、財務上の懸念は一層強まります。府に7億5600万円と「過少」に報告することで収支見通しを偽った疑いも生じています。
府提出資料も
学園が府に提出した小学校新設に関わる資料にも事実と異なる記述があることが相次いで発覚しています。
愛知県内の私立海陽中等教育学校への推薦入学枠があるとしていましたが、合意はなく、学園側も誤りを認め、訂正しました。学園側は新設小学校1、2学年の定員がそれぞれ80人に対し入学予定者が40人、5人と報告。「推薦枠」があるかのようにして定員の確保実現をアピールしようとしていました。
学園側が提出した「教員等雇用予定者リスト」に校長、教頭に次ぐ「総括教員」として掲載されていた公立小学校の男性校長は受諾を否定しています。府側によると、学園側も「本人から辞退があった」ことは認めています。
経歴詐称の疑いも出ています。提出された籠池理事長の経歴に、自治省(現総務省)に入省し、奈良県に出向したと記述されていることも事実と異なることが明らかになりました。
同学園の小学校新設の認可を審議している府私学審議会は、学園側の報告、提出資料に次々と疑問が生じている事態を受け、23日に予定していた「認可適当」の是非を判断する審議会の日程を前倒しすることを検討しています。
国有地の不可解な8億円値引き売却など「森友学園」問題をめぐる疑惑は深まるばかりです。真相解明には籠池氏はじめ関係者の国会招致は待ったなしの課題となっています。