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2017年3月9日(木)

「森友」問題 籠池氏ら招致は不可欠

疑惑次々 解明待ったなし

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 日に日に疑惑が深まる学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)への国有地売却問題。日本共産党など4野党は、籠池氏と、当時国有地売却でかかわった財務省、近畿財務局幹部らの国会への参考人招致を一致して求めています。なぜ参考人招致が必要か。


写真

(写真)森友学園の学校案内パンフレットには、名誉校長(辞任)だった安倍首相夫人の昭恵氏のあいさつが掲載されていました

政治家の関与

 森友学園への国有地売却問題への疑惑の一つは、政治家関与の問題です。

 安倍晋三首相は当初、政治家の関与について「一切ない」としてきました。しかし、日本共産党の小池晃書記局長の参院予算委員会での追及によって、籠池氏が鴻池祥肇(よしただ)参院議員事務所に働きかけていたことが白日のもとにさらされ、首相の答弁は完全に崩れました。

 鴻池氏も認めた面談記録によれば、籠池氏は2013年8月以降、賃借契約の要請や一括購入の際の値引きなど十数回にわたって働きかけていました。

 鴻池氏は会見(1日)で、政府への国有地売却価格の8億円の値引きの働きかけを断ったと言っています。しかし、実際には森友学園側のシナリオ通り、国有地は8億円値引きされて売却されました。鴻池氏とは別の政治家による関与が当然問われます。国会審議で財務省の佐川宣寿理財局長も「政治家についての問い合わせがあったかと言われれば、そういう可能性もある」(2日の参院予算委)としています。

 鴻池氏は14年4月中旬に面会の際に金銭を差し出されたとしていますが、籠池氏側の弁護人は商品券だったと説明しています。説明が食い違うなら、なおさら関係者の招致が必要です。

適正な手続きか

 第二の疑惑は、森友学園の国有地取得で国の手続きは適正だったのかという問題です。

 国有財産の処分は売却を原則とします。しかし、当初は、森友学園の建設予定地は、森友学園が資金難を理由に賃借契約を希望し、結果として10年以内に「内部留保」で購入することを前提に賃借契約が結ばれました。なぜ賃借契約がまかり通ったのか。

 16年3月に、くい打ち工事で地下埋設物が発見され、籠池氏は3月15日に、財務省の国有財産審理室長と面談しています。その結果、不動産鑑定士が9億5600万円と評価した土地が、賃借契約から売却契約に変わり、ごみ撤去費用として8億1900万円が値引きされ、1億3400万円で売却されます。16年3月の交渉では何を話したのか。さらに、1億3400万円という価格は、近隣の国有地と比べて8分の1程度の安い価格でした。価格は適正だったのかも明らかにしなければなりません。

 これらの問題を解明するためには、籠池氏だけではなく、迫田氏や近畿財務局の担当者らの国会招致が必要です。

首相夫妻の責任

 疑惑の三つ目は、森友学園が国有地に開設しようとした小学校の建設や同学園の幼稚園運営に、安倍晋三首相や昭恵夫人の名前が使われたことへの道義的責任です。

 安倍首相が籠池氏を知ったのは、第1次安倍政権後、昭恵夫人からの紹介とされています。籠池氏から建設される小学校に安倍首相の名前を冠したいと持ち掛けられ、断ったといいますが、寄付金の振込用紙には「安倍晋三記念小学校」と記載されていました。12年9月には安倍首相自身の講演予定もありました。

 昭恵夫人は少なくとも3回、同学園が運営する塚本幼稚園で講演しており、15年9月に小学校の名誉校長に就任。同校のパンフレットの冒頭ページに昭恵夫人は「籠池先生の教育に対する熱き想いに感銘」を受けて就任したと書いています。“強引な要請で断れなかった”という安倍首相の説明と食い違っています。

 名誉校長としてパンフレットに紹介されていたことが、国有地の払い下げなどにまったく影響がなかったのかどうか。首相自身、2月24日の衆院予算委では「理財局、航空局に対して、安倍昭恵名誉校長ということを前面に出したのかということもあるんだろう」「それを示しながらということは一概にないということは言えない」と認めていました。そうであるなら、理財局や航空局の担当者にその影響をただす必要があります。いずれにしても、籠池氏の教育方針に共感を示していた安倍首相夫妻の道義的責任は免れません。

「違法性がない」というが

疑惑解明は国会の責務

 籠池氏らの参考人招致に対し政府は「違法性のない事案にかかる審査というのは慎重にやるべきだ」(菅義偉官房長官)と背を向け、自民・公明両党は8日の幹事長・国対委員長会談で、参考人招致に応じない方針を確認しました。疑惑の幕引きをはかる姿勢そのものです。

 国会での疑惑追及は、何よりも国民の疑念を晴らし、国政への信頼を取り戻すことを目的にしています。実際、過去の参考人招致や証人喚問は、「事案の違法性」の有無にかかわらず、疑惑解明のために行われてきました。

 森友学園をめぐっては学校認可、国有地の賃借・売買契約、とりわけ8億円値引きなど数々の疑惑が国会審議を通じて浮上していますが、政府はその交渉経過の文書を廃棄したことを盾に具体的な内容を明らかにしません。ならば当時の関係者を国会招致し、直接事実を確認する必要があります。安倍首相自身、国会審議での政府側の説明に「必ずしもふに落ちるような説明はなされていない」と不十分さを認めています。

 「違法性」を問題にするなら、森友学園は、国の補助金対象の校舎と体育館の建築費で大阪府と国側に異なる報告をしていた▽愛知県内の中等教育学校と推薦入学枠の提供で合意がないのにあるとした▽雇用予定の教員名簿に別の学校で働く教員の名前を無断で掲載していた―などの問題も報じられています。

 世論調査では、籠池氏らの参考人招致を「行うべき」が76%(JNN)、森友学園の疑惑を国会審議を通じてはっきりさせる必要があると「思う」が83%(ANN)と圧倒的です。疑惑の中身と国民世論からみて国会での真相究明は待ったなしです。


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