2017年3月9日(木)
金田法相、テロの定義できず
衆院委 藤野議員追及で鮮明
|
安倍政権が「テロ等準備罪」と言い換えて提出を狙う「共謀罪」法案の「テロ」の定義をめぐり、8日の衆院法務委員会で、過去の政府答弁とも法律上の定義とも異なる答弁が金田勝年法相から続出しています。
安倍政権は、国際組織犯罪防止条約(TOC)を批准しなければテロに対応できないとし、そのためには国内で共謀罪を整備する必要があると主張しています。ところが、法案原案には「テロ」の文言がなく、批判を受けて慌てて「テロ」の文言を法文に挿入しました。
日本共産党の藤野保史議員は、宗教や政治団体が「純粋な精神的な利益のみを目的として犯罪を行う場合」(テロ)はTOC条約が定める組織的犯罪集団に当たらないとした2005年の南野知恵子法相(当時)の答弁を紹介。同条約はテロをわざわざ対象から除外したものだとただしました。金田法相も「当時の理解とわたしの理解との間で違いはない」と述べざるを得ませんでした。
一方で、金田法相は2月17日の藤野氏の質疑では「純粋に精神的な利益」だけを目的にテロが行われることは想定しがたいなどと、テロの範囲を広げるかのように、05年の南野法相の答弁とは異なる見解を示していました。
藤野氏はさらに、秘密保護法がテロについて「政治上その他の主義主張に基づき」行われる活動と定義していることを指摘しました。その上で、民進党の逢坂誠二議員の質問に対して金田法相がテロの定義として「特定の主義主張に基づいて」行われる活動などと「政治上その他の主義主張」を「特定の」と言い換え、秘密保護法と異なる答弁をしていたことも示し、「どれが大臣の見解なのか」と迫りました。
金田法相は「(テロには)現実に想定されるものとそうでないものとがある」などと発言。藤野氏は、時の政権によっていくらでも処罰対象を広げることが可能になると批判しました。