2017年3月8日(水)
財務局が埋め戻し提案
森友学園予定地産廃 工事関係者が証言
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大阪市内の学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)に豊中市内の国有地を財務省近畿財務局が格安で売却した問題で、同局が費用を抑えるため2015年に、産業廃棄物を用地内に残したままにするよう求めてきたと、工事関係者が本紙に証言しました。
工事関係者によると、森友学園が新設をめざす小学校用地の土壌汚染処理と埋設物撤去工事の際に、契約外のごみなど産廃が出てきました。このため、15年9月4日に近畿財務局内で同局と国土交通省大阪航空局、設計事務所と施工業者の4者で対応を打ち合わせました。
業者側が処分費用の参考単価を示したところ、財務局側は「金額をそんなにかけることは考えていない」として契約外の産廃をそのままにしておくよう求めたといいます。
業者側は、工事の障壁となるコンクリートガラなどを取り除きましたが、産廃は現場に残しておきました。
国は、この土壌汚染処理と埋設物撤去工事に約1億3200万円を払う合意書を16年3月に学園と結びました。
廃棄物処理法は、工事現場で出た産廃を適正処理するよう義務づけています。
この工事関係者はその後、校舎の本体工事を契約した別の業者から「産廃は全部撤去したのではなかったのか」と問われ、経緯を伝えたとしています。
財務省の佐川宣寿理財局長は、6日の参院予算委員会で「掘り出したごみを場内に埋め戻すといったようなことを近畿財務局が指示するということはない」と答弁しています。
建築費3倍 虚偽報告か
大阪府豊中市の国有地を格安で取得した学校法人「森友学園」(大阪市)が4月に開設予定の小学校をめぐり、府私学審議会などに提出された学園の報告が、事実と異なることが分かりました。
学園側が国への補助金申請時に届けた小学校の建築費と、実際に工事業者と結んだ契約額に3倍近い開きがあったほか、愛知県内の私立海陽中等教育学校への推薦入学枠があると報告していましたが事実ではありませんでした。
府教育庁によると、学園は国土交通省への補助金申請時に小学校建築費と設計費合計21億8000万円と報告する一方、府には建築費7億5600万円と説明していました。府の問い合わせを受け、学園側は7億5600万円が正しい金額だと回答しました。海陽中等教育学校への推薦入学枠についても合意はしていなかったと誤りを認めましたが、いずれも虚偽ではないと主張したといいます。
国交省は補助要件を満たす建築費を約15億円と査定し、6194万円を限度額として交付を決定。これまでに5645万円を支給しました。
松井一郎大阪府知事は7日、府庁内で記者団に、学校建設に関する国からの補助金受給などで学園の不正が確認されれば、小学校の設置が不認可となる可能性があるとの認識を示し、「補助金詐欺となれば刑事事件になる。そもそも教育者の資格に疑問符が付くことになるのではないか」と述べました。