2017年3月7日(火)
論戦ハイライト
南スーダンPKO日報問題 不開示の経緯 調査せよ
参院予算委 井上議員の追及
6日の参院予算委員会で南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊部隊の「日報」の隠ぺい疑惑について追及した日本共産党の井上哲士議員。統合幕僚監部が、日報を業務としてダウンロードしながら、防衛省文書課の「破棄済み・不開示」とすることへの意見照会を決定の決裁を支持し、「意見なし」と回答していたことを「あまりにも不自然だ」と批判しました。
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業務として残った
日報は陸自指揮システムにアップロードされ、陸自中央即応集団の他に、統幕もこのシステムにアクセス可能でした。
井上氏は、統幕が日報をもとに「南スーダンの活動状況」を毎日作成し、大臣に報告することを業務としていたことを指摘。稲田朋美防衛相は「統幕の参事官付の担当者が執務の参考にするため適宜、日報を参照することがあった」と認めました。
井上氏は「たまたま、日報データが統幕に残っていたのではなく、業務としてダウンロードしてきたから残っていた」として、「日報をダウンロードしていたことを(不開示支持の)決裁に関与した者が誰も知らなかったなど信じがたい」と、次のようにただしました。
井上 決裁には、誰が関与したのか。南スーダンPKO担当者にも参照したのか。
稲田防衛相 関係部署からの報告を、ことさらに検証する必要はない。
省内通達にも違反
誰が関与したかも明らかにせず、事実経過の検証すら拒否する稲田防衛相に対し、井上氏は、今回の不開示決裁が防衛省内の通達にも違反している可能性があると、さらにただしました。
防衛省内では、存在する関係資料を「廃棄した」として組織的隠ぺい体質が指弾された「たちかぜ自衛官いじめ自殺事件」(2004年)を受けて、「当該文書が不存在という判断に至った場合においても、再度入念に確認を行う」「必要に応じて探索範囲を拡大して改めて当該文書の特定につとめる」とする事務次官通達(2012年)が出されています。
井上氏は、統幕が再確認も探索もせず、「廃棄済み・不開示」を認めたとして、「この『通達』通りやられていない」と指摘しました。
井上 隠ぺい疑惑に対し調査すらしないのでは、防衛大臣としての資格が問われる。
安倍晋三首相 (稲田防衛相は)大臣としてしっかりリーダーシップをとった。
開き直る安倍首相に対し、井上氏はPKO派遣部隊の家族向けの説明資料でも、「戦闘発生箇所」を「衝突発生箇所」に書き換えるなど、危険な実態を隠ぺいしていると指摘。民族間の内戦状態になっており、PKO参加5原則は崩壊しているとして、自衛隊の撤退を強く求めました。