「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2017年3月6日(月)

主張

農業競争力法案

競争偏重は崩壊を加速させる

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 安倍晋三政権は、環太平洋連携協定(TPP)の発効が見込めない中でも、「アベノミクス」の柱として農業「改革」を推し進める法案を急いでいます。農業の「競争力強化」プログラムにそって今国会に8本の法案を提出する予定で、これまでに、農業競争力強化支援法案、主要農作物種子法(種子法)廃止法案、農業機械化促進法廃止法案などを閣議決定し、収入保険制度や生乳生産者補給金制度の改定などの法案を準備しています。

危機を招いた農政の強化

 日本の農業はいま、重大な困難に直面しています。政府・財界も日本農業の「競争力」強化には、農業者の所得増大が必要としています。当面する農業の危機、農業所得の減少は、長年の自民党政治が農産物の自由化・市場開放を推し進め、諸外国に比べ自然条件や内外格差などに多くの困難を抱えざるを得ない農業の支援制度を次々と壊してきたことにあります。

 それは国内の農産物価格や所得補償の予算が、欧米に比して極めて低いことにも示されています。価格政策放棄と選別的規模拡大の強化延長では解決できないことは明らかなのに、政府・財界にはそれを改める意思はありません。

 気象や市場の動向に影響を受けやすい農産物の生産と価格は、極めて不安定です。農業所得を増やし、生産を安定させるには、生産資材など経営費の節減が必要です。それには適切な国境措置とともに、生産者価格が一定の水準で安定する価格政策や条件不利地域への所得補償(直接支払い)など、生産者の所得への下支えが不可欠です。主食であるコメの需給調整に国が責任をもつことや直接支払い政策(2017年で廃止)を多くの農業者が支持したのもそのためです。

 安倍自公政権は、発効の見通しのないTPP協定の批准を強行、農産物の関税撤廃・削減や食の安全、医療、公共投資、国の主権放棄であるISD(投資家対国家紛争解決)条項などを受け入れました。それらは、今後の対外経済交渉の出発点となり、大幅な市場開放につながりかねません。

 競争力強化法案では、農業者、関連産業に政府が求める競争力強化策への努力を義務づけています。政府は、介入するものではないといいますが、政権が求める努力をしない農業者・関連業者はいらないというに等しいものです。

 また、農業生産資材の生産・供給や流通関連産業の整理・再編とともに、農協を他の企業と同列に扱うことで、農民の協同組合である農協の事業を縮小・弱体化させるものになっています。種子法廃止は、自治体が責任を持っていたコメ・麦・大豆などの種子の生産・改良・供給の事業を営利企業に明け渡す危険があります。

実態を対置し徹底審議を

 政府・財界がこれらの法案で狙うのが、日本の農業と食料の生産・加工・流通を、多国籍企業を含む営利企業に開放することにあることが浮かび上がってきます。

 いま必要なのは、「競争力一辺倒」ではなく、国内生産を維持・発展させるために、国・地域の条件に合わせた生産対策や地域の活性化策など、農業の実情にあった制度・政策です。実態を対置した徹底審議で世論を広げ、競争力強化法などの成立を阻止しましょう。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって