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2017年3月1日(水)

衆院本会議・予算委 共産党の論戦

暴走政治に正面対決

対案示し転換を迫る

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 2017年度予算案の論戦の場は28日、参院に移りました。日本共産党は、衆院予算委員会などでの論戦で、暴走する安倍政権に正面対決。他の野党との共闘を追求しながら、日本共産党ならではの主張や対案を示して政治の根本的転換を迫りました。

南スーダン

立憲破壊の派兵が明白に

「日報」隠ぺい疑惑いち早く追及

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(写真)代表質問にたつ志位和夫委員長=24日、衆院本会議

 防衛省が「廃棄して保有していない」と説明してきた南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派遣されている陸上自衛隊の「日報」が電子データとして統合幕僚監部にすべて保存されていたことが明らかになり、大問題となっています。

 防衛省が一部黒塗りで公表した昨年7月の「日報」は、首都ジュバで発生した南スーダン政府と反政府勢力の内戦を「戦車や迫撃砲を使用した激しい戦闘」との表現で生々しく報告していました。しかし、稲田朋美防衛相は「憲法9条上の問題になる」などの理由で「戦闘」を「衝突」と言い換えました。南スーダンの実態を覆い隠し、安保法制=戦争法に基づく自衛隊派遣を続けようとする安倍政権の立憲主義破壊の姿勢がいよいよ明白になっています。

 日本共産党は、南スーダンからの自衛隊撤退、憲法9条に立った非軍事の人道・民生支援への転換を求めるとともに、「日報」の隠ぺい問題を志位和夫委員長が1月24日の代表質問で真っ先に取り上げました。志位氏の追及に、安倍晋三首相は「日報」廃棄を前提に答弁するなど、防衛省が「日報」の存在を知りながら、それを隠そうとして、首相答弁を作成した疑惑も浮き彫りになっています。

 さらに、笠井亮政策委員長は2月14日、「日報」が陸自の電子データシステムに保存され、自衛隊内で閲覧可能だったと告発。さらに他の野党議員も電子データの取り扱いをただす中で、統幕がデータを保有していながら、不開示を認める決裁をしていたことも明らかになっています。

 畠山和也議員は2月20日、「日報」をダウンロードした記録の有無を追及。防衛省の組織ぐるみの隠ぺい疑惑はますます深まっています。

共謀罪

政府説明破綻に追い込む

“質問封じ”狙った法相は謝罪

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(写真)質問する笠井亮政策委員長=14日、衆院予算委

 政府が今月中にも国会提出を狙う「共謀罪」法案。野党の追及で、「テロ対策」「一般人は対象にならない」という政府の説明がことごとく破綻しました。

 政府は「共謀罪」をつくる理由に、「国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を批准してテロを防ぐ」ことを挙げます。

 これに対して日本共産党の藤野保史議員は、TOC条約の目的は経済犯罪の取り締まりだと指摘。「目標が純粋に非物質的利益にあるテロリストグループは含まれない」との国連の説明を示して政府の見解を問うと、金田勝年法相は明確な答弁ができませんでした。(2月17日)

 政府は▽処罰対象を組織的犯罪集団に限る▽合意に加え実行準備行為があって初めて処罰する―と説明します。藤野氏の追及で、組織的犯罪集団として政府の挙げるテロ組織と麻薬密売組織に定義がなく、対象が広がりうることが明らかになりました。(同2日)

 政府は、ある団体が犯罪目的の集団に「一変」した場合、「組織的犯罪集団に当たり得る」との見解を発表(同16日)。民進党の山尾志桜里議員の質問に、金田法相は、「一変」したかを判断するのは主に捜査機関だと認めました。さらに、「共謀」は、電話やメール、ライン(無料通信アプリ)のやりとりや、顔文字やスタンプ(イラスト)など文字以外の意思表示でも成立しうると明言しました。(同27日)

 相次ぐ野党の追及に追い込まれた金田法相は、“質問封じ”と受け取れる文書を作成・配布しましたが、さらに野党の批判を受け、謝罪・撤回しました。共産、民進、自由、社民の4野党は一致して、「日報」隠ぺいの稲田朋美防衛相と合わせて金田法相の辞任を求めました。

外交

トランプ政権追随を告発

米と対等・平等・友好に転換を

 日本共産党は、平和も暮らしも破壊する異常な安倍政権の対米追随姿勢を告発し、対等・平等・友好の日米関係への転換を求めました。

 笠井亮政策委員長は、日米首脳会談でトランプ政権の「入国禁止令」への批判を安倍首相が避けたことについて、「難民法をはじめ国際的な人権・人道法に反する。テロ根絶の国際的取り組みにも深刻で否定的な影響を与える」とただしました。

 辺野古新基地建設に突き進む日米両政府の姿勢を追及した赤嶺政賢議員は、2019年2月までの普天間基地(宜野湾市)の運用停止を合意しながら、同基地の補修・維持を行う矛盾をつきました。これに対して安倍首相はまともに答えられませんでした。(2月14日)

 赤嶺議員は、在日米軍兵士と軍属らによる事件・事故総数は21万件を超え、死者は1092人(1952〜2016年時点)にものぼるなど、基地押しつけの被害も明らかにしました。

 安倍首相は、米国製の武器購入が「米国の経済と雇用に貢献する」(2月15日)と言い放ちました。畠山和也議員の追及で、13年度から米政府からの兵器調達が急増し、17年度は3596億円に達するなど、「日米同盟第一」の政治の害悪を浮き彫りにしました。

 大平喜信議員は、米政府の核強化方針に「被爆国日本として反論を」と追及。岸田文雄外相は「動向は注視する」と言い逃れようとしました。

 斉藤和子議員は、環太平洋連携協定(TPP)交渉と並行して交わした関連文書に基づき、米国の要求である日本の医療保険制度の改悪や食品添加物の使用拡大を日本政府が推進する姿勢を浮き彫りにしました。

働き方改革

長時間残業の政府案批判

規制の「適用除外」廃止答弁引き出す

 安倍首相は「残業時間の上限設定が必要」と繰り返し答弁しています。政府が「働き方改革実現会議」で打ち出したのは、残業時間を「年間720時間」まで認めるという案でした。残業時間の限度を「週15時間、月45時間、年間360時間まで」とした厚生労働大臣告示の2倍もの残業を許容する「働き方改悪」というべきものです。日本共産党は、大臣告示の法制化を求めています。

 真島省三議員は、原発再稼働審査のための電力会社の業務について、政府が「公益上の必要」の名のもとに、残業時間を規制する大臣告示の「適用除外」としている問題を批判。九州電力では「適用除外」期間が終了したにもかかわらず、292人が月170時間まで残業できるようにしていた実態を自らの調査をもとに告発し、「電力会社は原発は『公益事業』だから自動的に適用除外になるという思い込みで“モラルハザード(倫理喪失)”を起こしている」と是正を迫りました。

 この残業時間規制の「適用除外」問題は共産党の質問で大きく動きました。

 高橋千鶴子議員は全国の原発の三六協定(残業時間に関する労使協定)を示し、残業時間の上限が1日16時間で、所定労働時間と合わせて24時間を超える勤務を可能としていると指摘。塩崎恭久厚労相は、「適用除外」とした厚労省通達を「今年度限りで廃止すべく考えている」と答弁しました。高橋氏は、始業後24時間以内に一定の休息を保障するインターバル規制を義務付ける野党共同提出の「長時間労働規制法案」の実現を求めました。

「看板」偽り

政府のごまかし浮き彫り

奨学金・地方・被災地…真の対策迫る

 安倍政権が掲げる看板がどれも小手先のごまかしにすぎないことも論戦で浮き彫りになりました。

 日本共産党は、格差と貧困の是正こそ政治の最大の課題だとし、志位和夫委員長が代表質問で、(1)税金の集め方の改革(2)税金の使い方の改革(3)働き方の改革(4)産業構造の改革―という「格差と貧困をただす経済民主主義の四つの改革」を提案(1月24日)。政治の抜本的転換を迫りました。

 宮本徹議員は、安倍政権の給付制奨学金が“看板に偽りあり”となっていることを告発しました(1月27日)。宮本氏は、同制度の収入要件を満たす生徒が約16万人いるのに定員が2万人にすぎないことを指摘。自宅から国立大学に通う学生には給付制奨学金が支給されないことも明らかにしました。松野博一文科相は、要件を満たしていても給付制奨学金を受けられない生徒が出てくることを認めました。

 「地方創生」の掛け声の陰で、住民の足のローカル鉄道が次々と消えている―。本村伸子議員は、2000年度以降、全国で39路線が廃線となる一方、安倍政権がJR東海のリニア建設を財政投融資で強力に支援していることを批判(2月17日)。首相から「JR北海道・四国・貨物等々に対する支援は行っていかなければならない」との答弁を引き出しました。

 高橋千鶴子議員は、東日本大震災被災地で深刻な受診抑制が起きている実態を示し、国保加入者に対する医療費免除を全額国費負担に戻すよう要求(2月9日)。背を向ける塩崎恭久厚生労働相に、被災者の現実を直視するよう迫りました。

注目集まる質問力――“森友”問題でも

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(写真)質問する宮本岳志議員=2月24日、衆院予算委

 「共産は『人海戦術』」(2月5日付「朝日」)

 党議員団をあげて論戦を組み立てる日本共産党の質問力にはメディアも注目。笠井政策委員長が防衛省の内部資料をもとに稲田朋美防衛相を追い詰めた2月2日の質問を取り上げ、「内部資料を入手して数十人がかりで分析し、質問をぶつけるのが共産党流だ」(同)と指摘しました。

 学校法人「森友学園」が国有地を格安に取得した問題では、近畿財務局幹部らが森友学園側と契約前に価格交渉をしていたことを独自調査で明らかにした宮本岳志議員の2月24日の論戦を、「朝日」「毎日」など各紙が1面で報道しました。

 「産経」も28日付「社説」で、「これで適正な取引だと信じろというには無理がある」として関係者の国会招致を求めるなど、政府を追い詰める質問力が光っています。


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