2017年3月1日(水)
大阪府、「森友」の要望で緩和
借金あっても開校容認
私学審委員“強い後ろ盾感じる”
大阪府の学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)が、安倍晋三首相夫人が名誉校長を務めていた小学校建設用地のために国有地を格安で譲り受けた問題で28日、府が同学園から要望をうけた翌年に借入金による学校開設を認める規制緩和をしたことが分かりました。申請を審査した府私立学校審議会(私学審)の委員は本紙の取材に、同学園は借入金が多いだけでなく寄付金頼みの計画であり、「誰が見てもおかしい話を、府は通しにかかった。よほど強い後ろ盾があると思わざるをえなかった」と証言しています。(笹川神由、三浦誠)
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府の基準では私立小中学校を開設した実績のある学校法人でなければ借入金で学校開設をできませんでした。府私学課によると、橋下徹氏が大阪府知事だった2011年7月ごろに森友学園の籠池理事長が基準の見直しを要望。松井一郎知事就任後の12年4月1日に基準を緩和しました。森友学園は14年10月31日に認可申請をしています。緩和後、申請したのは森友学園だけです。
申請当時、森友学園の財務状況は借金頼みでした。私学審(14年12月18日)の議事録によると、委員から森友学園の「借り入れが、いま持っているものよりオーバーしている」との懸念が出ています。
森友学園が小学校新設で頼みにしているのが寄付金です。同学園の籠池氏は本紙の取材に「寄付の計画は3億か、4億円だった」と回答。私学課は寄付金が計画以上に集まったとしています。
しかし採算ラインが定員の70%程度なのに対し、入学希望者は28%にとどまっています。私学審の梶田叡一会長は経営が成り立つかどうか「みんな危惧している」(22日の会見)と表明。開校直前になっても財務状況の不安は解消できていません。ある委員は本紙の取材に、「借金もあるし、あの入学者数では経営は成り立たない」と指摘しています。
松井知事は28日、記者団に対し規制緩和について「当時はどんどん私学に入ってきてもらうのが方向性だった」と説明しました。
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