2017年2月28日(火)
17年度予算案に対する藤野議員の反対討論(要旨)
衆院本会議
日本共産党の藤野保史議員は27日の衆院本会議で、2017年度予算案に対する反対討論を行いました。要旨を紹介します。
反対理由の第1は、アベノミクスのゆきづまりのしわ寄せを国民におしつけ、暮らしを痛めつける点です。
安倍政権発足後、パートを含めた全労働者の平均実質賃金は年19万円も減り、2人以上世帯の実質家計消費支出は、16カ月連続で対前年度比マイナスが続いています。
税収面をみると、16年度第3次補正予算では、税収が当初見込みより1・7兆円も落ち込み、穴埋めなどで1・9兆円もの国債を追加発行しました。政府は、17年度の所得税収と消費税収が前年度当初より減るとしており、国民の所得と消費が減ると認めたことに他なりません。
財政は、日銀による異常な金融緩和でつくり出した超低金利に支えられており、ゆがみが一層ひどくなっています。社会保障費の「自然増」分を1400億円抑制し、社会保障の各分野で国民に負担増と給付減を強いています。中小企業対策費と農林水産関連予算も昨年より減っています。
政府が導入するとする返済不要の給付制奨学金は対象者が極めて限定的です。安倍政権が文教予算を3年連続で減らしたもとでの財源のやりくりは、他の若者にしわ寄せがいきます。先進国で最低レベルの文教予算の抜本的拡充を求めます。
安倍首相が議長の「働き方改革実現会議」は、残業時間の上限を年720時間とする案を出しました。厚労相告示の2倍もの残業を野放しにするもので、容認できません。
第2の理由は、「日米同盟第一」の立場で、世界でも異常な米国追随の姿勢を鮮明にしている点です。
首相はトランプ米大統領との首脳会談で、「日米同盟の強化」と「日本は同盟におけるより大きな役割及び責任を果たす」ことを合意しました。「新ガイドライン」と安保法制=戦争法に基づき、地球規模での米軍と自衛隊の軍事協力―「海外で戦争する国」づくりを推進するものです。
一般会計の軍事費総額は5兆1251億円と、3年連続で過去最高額を更新しています。日米地位協定の負担原則に反する「思いやり予算」、SACO(沖縄に関する特別行動委員会)関連経費、米軍再編経費の合計は3985億円にものぼります。
大学などを軍事研究に動員する予算は、対前年度比で18倍に激動しました。日米の兵器の共同開発に日本の研究や技術の動員は許されません。
日米共同声明は、米軍新基地建設について「辺野古が唯一の解決策」としています。辺野古沖での海上工事の即時中止、基地建設の断念と普天間基地(宜野湾市)の閉鎖・撤去を求めます。
第3の理由は、不要不急の大型公共事業を優先し、原発再稼働や破綻した核燃料サイクルを推進する点です。
三大都市圏環状道路、国際コンテナ戦略港湾など、大型公共事業を優先しています。来年度の財政投融資計画は、リニア中央新幹線に総額3兆円の貸し付けを行うとしていますが、償還確実性等をまともに検討せずに、技術・安全・環境面で問題が指摘されるリニア中央新幹線に巨額の公費をつぎこもうとしています。
福島第1原発事故の賠償・除染等にかかる費用は21・5兆円です。東京電力など「原発利益共同体」に負担を求めず、電気料金等の形で国民につけを回すことは認められません。
政府は高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を決定する一方、新しい高速実証炉の開発にのりだそうとしています。数十年の歳月と1兆円超の資金を投じた「もんじゅ」に対する真剣な反省も総括もなく、世界でも実用化のめどが立っていない高速実証炉の開発は同じ失敗を繰り返すだけです。
福島では8万人を超える方々が帰郷できず、原発と人間社会が共存できないのは明らか。原発再稼働と核燃料サイクルを断念する政治決断を下すべきです。
いま求められるのは、貧困と格差をただす立場で予算を組み替えることです。格差拡大に追い打ちをかける消費税増税路線を転換し、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革を行うこと、社会保障、教育、子育てなどの予算の抜本的拡充を強く求めます。
文科省をはじめとする天下り問題や大阪・森友学園をめぐる疑惑に対し、資料提出や関係者の招致により真相を徹底解明すべきです。
「テロ対策」の名で国民を欺き、思想や内心を取り締まるとする共謀罪は、モノ言えぬ監視社会をつくる現代版「治安維持法」です。「国会提出後に議論すべきだ」とする金田勝年法相の文書配布は三権分立を否定する暴挙です。法案提出の断念を強く求めます。
稲田朋美防衛相が、南スーダンの事態を「戦闘」ではなく「衝突」だと強弁し、憲法9条違反の実態を覆い隠しています。自衛隊の即時撤退を求めます。
日本の政治に立憲主義を取り戻し、憲法が暮らしにも職場にも政治の場にも生きる社会をつくる。そのために全力を尽くす決意です。