2017年2月27日(月)
主張
17予算案衆院審議
軍拡と福祉破壊押し付けるな
2017年度政府予算案について安倍晋三政権がきょうにも衆院採決を狙っています。衆院で可決された予算案は、参院で可決されなくても30日後には成立するため、異例の早さとなります。17年度予算案は軍事費に5兆円以上配分し、医療、介護など社会保障予算は「高齢化」による増加分さえ削減する、異常な軍拡優先、福祉破壊の予算です。予算審議では、文部科学省の組織的な天下り問題や南スーダンのPKO(国連平和維持活動)へ派遣された自衛隊の報告書隠ぺいなどが明らかになりました。疑惑に応えず成立を急ぐ安倍晋三政権の責任は重大です。
“バターより大砲”の予算
安倍政権が昨年末編成した17年度予算案は、文字通り、“バターより大砲”を優先させた予算案です。1930年代にドイツのヒトラー政権が、国民の暮らしより、戦争準備と軍拡を優先させて有名になった言葉です。
17年度予算案で軍事費は、安倍政権が発足して5年連続の増額で、総額は5兆1000億円台と当初予算では過去最大の規模に達しました。その中身も海外で「戦争する国」を目指す安保法制=戦争法の本格発動を背景に、垂直離着陸機オスプレイや新たな空中給油機、海上配備型の迎撃ミサイル、最新鋭ステルス戦闘機の購入などに大盤振る舞いです。アメリカからの武器購入予算が膨らんでいるのも最近の特徴です。トランプ米政権の発足で注目された在日米軍経費も増額です。
一方、年金や医療、介護など社会保障費は、金額では32兆4000億円余りと最大ですが、高齢者が増えていることなどに伴う“自然増”の予算を削減しています。安倍政権は概算要求で6400億円と見積もった予算増さえ、5000億円に抑えるとして1400億円もカットしました。70歳以上の高齢者の高額療養費の改悪、75歳以上の後期高齢者医療制度の保険料軽減措置の縮減など、患者や国民の負担が増やされています。安倍政権は消費税の増税見送りを理由に、低所得者への介護保険料の減額や低年金者対策の給付などの実施を先延ばししており、消費税頼みは破綻が明らかです。
17年度予算案では、歳出規模全体としては5年連続で過去最大を記録し、予算の35%を国の借金である国債で賄う、まさに“借金漬け”の予算です。経済の不振が長引き、税収が全体として伸び悩んで、「アベノミクス(安倍首相の経済政策)」の破綻が税収面でもあらわになる中で、財政再建の見通しはますます困難です。安倍政権の「中長期経済財政試算」でも、20年度になっても社会保障や公共事業など政策経費を税収で賄うには8・3兆円不足する見込みです。
安倍政権の目標は「ゼロ」で、昨年の試算より赤字が3兆円も増えているのに、何の説明もなく財政膨張を続ける、無責任ぶりは明らかです。
疑惑棚上げの通過は問題
衆院での予算審議で焦点になってきた文部科学省の天下りや、南スーダンへの自衛隊派遣、国有地払い下げ疑惑なども税金の使い道にもかかわる重大問題です。解明は尽くされておらず、疑惑に口をつぐんで予算案の衆院通過に突き進むというのは許されません。
徹底した審議とともに、国民の監視と追及が重要です。