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2017年2月25日(土)

トヨタ系列の過労死認定 名古屋高裁

基準未満でも過重負荷

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(写真)勝訴した三輪香織さん(中央)。右は水野幹男弁護士=23日、名古屋市

 トヨタ自動車系列の下請け会社に勤めていた愛知県安城市の三輪敏博さん=当時(37)=の突然死を過労死と認めなかったのは不当として、妻の香織さん(39)が国の処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が23日、名古屋高裁でありました。

 藤山雅行裁判長は「業務との因果関係は労災認定基準を満たさずとも認められる」として、請求を棄却した名古屋地裁判決と半田労基署の不認定処分を取り消し、労災と認定する逆転勝訴の判決を言い渡しました。

 敏博さんは、トヨタ自動車の2次下請け「テー・エス・シー」のチームリーダーで2011年9月、虚血性心疾患で死亡。香織さんが12年に労災保険支給を申請しましたが、半田労基署は、時間外労働が認定基準100時間(直近1カ月)を下回る約85時間だったとして不支給と判断。一審判決も同様の理由で訴えを退けました。

 高裁判決は、「(約85時間の)時間外労働だけでも過重な労働負荷である」と指摘。さらに休憩時間が取れず、タイムカード打刻後のサービス残業もあった上に、うつ病で発症前1カ月は5時間程度の睡眠が取れない状態だったとして「健康な人の100時間超の時間外労働に匹敵する過重な負荷だった」と判断しました。

“病気の人へ励まし”

 トヨタ自動車系列の下請け会社に勤めていた愛知県安城市の三輪敏博さん=当時(37)=の突然死を過労死と認める判決が23日、名古屋高裁で出されました。

 判決後、名古屋市内で記者会見した妻の香織さん(39)は「どんな人でも健康に楽しく、幸せに暮らせるような働き方でなければいけない。世の中がそのように変わっていくことを願います」と語りました。

 三輪さんの過労死認定を求めるたたかいはトヨタなどの労働者や過労死を考える家族の会、過労死問題に取り組む弁護士らが参加して支援する会がつくられ、運動を広げてきました。

 遺族側弁護団の水野幹男弁護士は、「発症前1カ月の労働時間が100時間に満たない場合でも認定できるとした意味は大きい。基準未満でも発症する可能性を認識して対策を取ることが求められます。うつ病になった人は睡眠が取れないなど一般の人より負荷が重いと認定したことも、病気を抱えながら働く人にとって励ましとなるものです」と話しています。


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