2017年2月24日(金)
原発輸出はハイリスク
巨額損失 国が負担も
輸出先の安心脅かす
原発輸出を経済成長の柱に位置づける安倍政権は、24日に日印原子力協定を国会に提出する構えです。しかし、原発輸出は、輸出先の国民の安全・安心を脅かすとともに、企業にとっても極めて高い代償がつきまとうことが浮き彫りになっています。原発輸出で巨額の損失が発生すれば、国民負担につながる危険も現実味を帯びています。
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日印原子力協定きょう提出
安倍政権は、国際協力銀行(JBIC)や日本貿易保険(NEXI)といった政府系金融機関も使って原発輸出を支援しようとしています。先の日米首脳会談で設置を合意した新たな日米経済対話でも、原発の共同売り込みが議題になると報じられています。
米国で巨額損失
日本共産党の宮本岳志議員は22日の衆院財務金融委員会で、日本の原発メーカーが米国の原発事業で巨額の損失を出している問題を追及。経済産業省は、東芝が参画していたテキサス州の原発建設計画が停止するとともに、三菱重工業が蒸気発生器を納入したカリフォルニア州サンオノフレ原発では、蒸気発生器の水漏れで原発自体が廃炉となり約67億ドル(約7500億円)の賠償を争う事態に発展していることを明らかにしました。
さらに、宮本氏が両案件に対する政府系金融機関の支援の有無をただしたのに対し、JBICを所管する財務省は「実績がない」としたのに、NEXIを所管する経産省は「回答を控える」とし、サンオノフレ原発にかかわる巨額の損失が保険の対象になっていることを疑わせる答弁をしました。巨額の国民負担が生じる危険があります。
メーカーも責任
原発輸出のリスクは米国に限りません。22日の衆院予算委員会分科会で外務省は、インドの原子力賠償法について「供給者(メーカー)の賠償責任も生ずる可能性がある」と明言しました(自民党の秋本真利議員に対する答弁)。
インドで原発事故が起きた場合、電力事業者だけでなく原発関連機器を納入したメーカーにも責任が及ぶ可能性があることを明らかにしたのです。賠償額は中央政府が定めることとしており、上限もありません。
東芝が米原子炉メーカー・ウエスチングハウス買収で巨額損失を被り、企業の存亡を揺るがしているように東京電力福島第1原発事故後、原発をとりまくビジネス環境は激変しています。安倍政権の原発輸出政策は、日本の経済にも財政にも最悪の結果をもたらします。
(佐久間亮)