2017年2月23日(木)
きょうの潮流
通称「核のフットボール」というそうです。米大統領がいつでも核攻撃を命ずることができる道具が入ったカバンです▼米メディアによると約20キログラム。革で覆われ、中にはコンピューターや衛星電話などが備えられているといいます。これを持った担当士官は大統領の近くに常に控えています▼安倍晋三首相がトランプ米大統領と過ごしたフロリダ州にあるトランプ氏の別荘「マール・ア・ラーゴ」。夕食会に出席した元投資家が、担当士官との記念写真をソーシャルメディアに投稿し、問題になっています▼写真では2人が並び、カメラに笑顔をみせています。「彼の名前はリック。『核のフットボール』を持っているんだ」。世界を破壊し尽くせる装備を持つ軍人に、トランプ氏支援のお金持ちは容易に近づける―。核問題専門家はロサンゼルス・タイムズ紙で「まったく不適切だ」と批判しました▼大統領に必要な冷静さ、判断力、自制心、外交的能力がなく、「核ミサイル発射の暗号を委ねるべきではない」。昨年の大統領選期間中、核ミサイル発射担当士官を務めた元米軍関係者10人から公開書簡でそう非難されたトランプ氏。当選後は「米国は核戦力を強化、拡大しなければ」とツイート。核兵器への姿勢にも世界は不安を抱いています▼安倍首相はそのトランプ氏との共同声明で米国の核兵器使用を辞さない方針を明記しました。一方、国連では来月から核兵器禁止条約の締結交渉に入ります。世界の流れに逆らう姿勢は、危険で恥ずかしい。