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2017年2月22日(水)

主張

「共謀罪」の導入

危険浮き彫り 法案提出やめよ

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 捜査機関が「犯罪を計画・話し合った」とみなせば実行しなくても処罰できる「共謀罪」法案の危険性が、国会審議の中でさらに浮き彫りになっています。安倍晋三政権は盛んに「一般の人は対象にならない」と繰り返してきたのに、法務省は一般人が対象にされる余地がある見解を明らかにし、新たな問題となっています。「テロ対策に必要」との説明についても金田勝年法相らは、その根拠をまともに語れません。国民の思想や内心を取り締まる憲法違反の法案の深刻な矛盾は明らかです。共謀罪法案の閣議決定・国会提出は、きっぱり断念すべきです。

捜査機関の解釈次第で

 共謀罪は、まだ起きていない「犯罪」について、2人以上で話し合い「合意する」ことが犯罪に問われるというものです。実際に起きた犯罪行為を罰するとした日本の刑法の大原則を踏みにじるとともに、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」とした憲法19条に反する危険な内容です。共謀罪法案は過去3回国会に提出されましたが、国民の批判の高まりで、3度とも廃案に追い込まれた経過があります。

 国会に4度目の提出を狙う安倍政権は、「共謀罪」ではなく「テロ等準備罪」だとか、一般人は対象外だ、と説明してきました。

 その“根拠”に挙げていたのが、取り締まる対象は「組織的犯罪集団」に限るということです。ところが先週、法務省は「正当に活動する団体」でも「犯罪を行う団体に一変したと認められる場合」には処罰の対象との見解を示しました。「一変した」との判断は、捜査機関に事実上ゆだねられるとみられます。捜査機関の解釈や裁量で、労働組合や市民団体でも対象にされかねません。首相も、国会で法務省の見解を正当化しました。今回の法案が、「一般人は対象にならない」どころか、歯止めのない危険がいよいよ際立つばかりです。

 共謀罪をテロ対策に必要だとする根拠の一つにしている「国際組織犯罪防止(TOC)条約」締結のためという理由も説得力を失っています。TOC条約のもともとの主眼は、マフィアなどによる経済犯罪を念頭にしたものであり、過去には南野(のおの)知恵子法相(当時)もその立場から答弁していました。当時の説明との食い違いを衆院予算委員会で追及された金田法相は、しどろもどろの答えしかできません。

 これまでの議論の経過を無視して、「テロ対策だ」「東京五輪が開けない」などと国民を欺いて、なにがなんでも共謀罪を押し通そうという安倍政権に大義も道理もないことは明らかです。

「質問封じ」法相は辞任を

 自らの答弁不能を棚に上げ、“法案が国会に出されるまで質問するな”とする文書を作成した金田法相の責任は重大です。批判を浴びて文書は撤回しましたが、その後も金田氏は、共謀罪の肝心な部分で質問を受けると「法案ができたら説明する」と繰り返すばかりで、まともに審議する態度ではありません。国会審議を無視し、三権分立の原則に反したことに無反省の金田法相は辞任すべきです。

 国会に出される前から問題が噴出している共謀罪法案について、安倍政権は3月上旬の閣議決定・国会提出を狙っています。そんな暴走は、絶対に許されません。


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