2017年2月22日(水)
陸自派兵地「最も不安定」
南スーダン 深刻 公述人「PKO5原則崩れる」
衆院予算委 中央公聴会
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衆院予算委員会は21日、2017年度予算案に関する中央公聴会を開きました。予算案について公述人の小田川義和・全労連議長らが意見を陳述するとともに、自衛隊がPKO(国連平和維持活動)に派兵されている南スーダンの深刻な実情について日本国際ボランティアセンター(JVC)の今井高樹氏が陳述しました。
今井氏は、自衛隊が活動する避難民保護施設の周辺地が「ジュバの中でも最も不安定な、何かしらの衝突が起こっても全く不思議ではない場所だ」と指摘。施設内に避難する元副大統領のマシャール氏の出身部族に対し、政府軍が襲撃を繰り返していると話し、「日本政府は『ジュバは落ち着いている』というが、(停戦合意の成立などを派兵の要件とした)PKO5原則は崩れている」と強調しました。
国会審議で紛糾する南スーダンPKOの陸上自衛隊部隊の日報をめぐり、「戦闘」という言葉を稲田朋美防衛相が「武力衝突」と言い換えたことに対し、今井氏は「言葉遊びのようなものだ」と批判。「現地からみれば、みなさん自分の家族を亡くし、あるいは家を追われ、いまも避難生活を続けている。多くの方が亡くなった。国会でどう表現しようと現場で起きていることは変わらない」と訴えました。
日本共産党の宮本徹議員は、日本政府が昨年12月、国連安全保障理事会での南スーダンへの武器輸出禁止の制裁決議案に棄権し、廃案に追い込んだことに対する見解を尋ねました。今井氏は、「実際に戦闘が起こっている中では(武器禁輸は)何よりも重要だ」とするとともに、正規輸入ルート以外に周辺国から武器が流入する現状も指摘。「(禁輸だけではなく)どうやって和解を達成していくかが重要だ」と述べました。