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2017年2月19日(日)

きょうの潮流

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 “奪われた野にも春は来るか”。韓国が日本に植民地支配された時代に生きた詩人、李相和(イサンファ)。故郷が他人の土地になっていく悲しみをうたった創作です▼「実り豊かに波打つ麦畑/乾いた田を抱いてめぐる小川/豊かな乳房のような柔らかなこの土地を/しかし、いまは野を奪われ、春さえも奪われようとしているのだ」。失ったものをただ嘆くのではなく、取り戻すための抵抗の意志を感じさせます▼韓国で知られるこの詩と同じ題名を付けた写真展が、いま新宿の高麗博物館で開催されています。2011年秋から福島原発事故の被災地を何度も訪れ、日常の風景を撮り続けてきた韓国の写真家・鄭周河(チョンジュハ)さんの作品です▼美しい野山、木々や花々、大地や海や川や空。そして、人間の生活。普遍的なものが断ち切られてしまった怒り、痛み、苦しみが一枚一枚の写真から伝わってきます▼自国の原発も撮ってきた鄭さんの主題は「内在された不安」でした。不安が現実となったいま、奪われたけれども変わらない美しい自然を通じて、私たちは何を見て、何を考えるべきなのか。その思いと、日常を奪った相手に立ち向かう勇気を日本の人たちと共有したいと▼人びとから営みのすべてを奪った原発事故。今も8万人余が故郷を追われて県内外で避難生活を送り、生業(なりわい)をもとめて国や東電とたたかっています。収束どころか、いまだに汚染対策もままならない現実の一方で推し進められる原発再稼働。あれから7度目の春が福島にめぐってきます。


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