2017年2月18日(土)
導入口実のTOC テロ防止の条約でない
衆院予算委 藤野氏の追及
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日本共産党の藤野保史議員は17日の衆院予算委員会で「共謀罪」法案について取り上げ、「国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を批准し、テロを防ぐために必要だ」とする政府説明は偽りだと追及しました。
藤野氏は、国連広報センターがテロ防止のための条約として14本の条約を挙げていることを指摘。岸信夫外務副大臣は、この14本の条約にTOC条約は「含まれていない」と認めました。
主眼は経済犯罪
藤野氏は、国際法学者の薬師寺公夫立命館大学教授による「テロリスト犯罪は組織犯罪の範疇(はんちゅう)から除外されることになった。国際組織犯罪防止条約は、一連の国際テロ防止条約とは区別されて普通犯罪に対処する条約に位置づけられることになった」との解説を示しました。
TOC条約第2条は、取り締まり対象とする「組織的な犯罪集団」について、「金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得るため…犯罪を行うことを目的として一体として行動するもの」と定義。同5条の合意罪についての項目でも、「金銭的利益その他の物質的利益を得る」ための犯罪との定義があります。
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藤野氏は、「どちらの定義もテロとは関連付けられていない。この条約がマフィアなどによる経済犯罪を主眼としたものだからだ」と強調しました。
藤野氏はさらに、国連薬物犯罪事務所(UNODC)によるTOC条約の説明(立法ガイド)でも「目標が純粋に非物質的利益にあるテロリストグループや暴動グループは、原則として、組織的な犯罪集団には含まれない」とされていることを示しました。
過去の政府答弁
藤野氏は、2005年に南野(のおの)知恵子法相(当時)が、国連の立法ガイドとほぼ同じ内容の答弁をしていることを紹介。これは、当時の政府がTOC条約はテロ防止条約ではないという前提だからだと指摘しました。
そのうえで藤野氏は「金田法相は、南野大臣と同じ立場だとすれば、TOC条約はテロ防止条約ではないということになる。今までの説明と違うではないか」とただしました。
金田法相は「条約に関わることなので外務省から答弁する」などと回答を避け、答弁不能に陥りました。
藤野氏は、TOC条約の成立の経緯も、国連の説明も、過去の法相答弁も、「全てを無視して『テロ対策だ』と言う政府の説明は偽りだ。共謀罪を通すために、今までの立場を全部ひっくり返すことなど絶対に許されない。『共謀罪』法案の国会提出は断念すべきだ」と強く求めました。