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2017年2月18日(土)

主張

南スーダン「日報」

隠蔽は重大、防衛相は辞めよ

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 南スーダンPKO(国連平和維持活動)の陸上自衛隊部隊が、昨年7月に首都ジュバで発生した大規模戦闘の状況を生々しく記録した「日報」について、防衛省・自衛隊が組織的に隠蔽(いんぺい)していた疑惑が大問題になっています。防衛省が当初、「廃棄」したとしていた「日報」のデータが見つかり、「廃棄」が虚偽だったことが判明しました。しかも、データは自衛隊の統合幕僚監部で昨年12月下旬に見つかったというのに、1カ月以上も隠されました。事の真相を明らかにせず、隠蔽を続ける稲田朋美防衛相の責任は重大であり、直ちに辞任すべきです。

国会でも虚偽の答弁

 「日報」は、昨年9月30日にジャーナリストの布施祐仁さんが情報公開請求をし、12月2日に防衛省は「廃棄」したとして不開示の決定をしました。2週間後の16日に不開示決定の報告を受けた稲田氏は「本当に破棄をしたのか疑問に思い、捜索を指示」し、26日に統合幕僚監部内で「日報」のデータを発見したといいます。

 しかし、日本共産党の笠井亮政策委員長は今月14日の衆院予算委員会で、自衛隊には海外派遣部隊から発信された報告などを蓄積するデータベースがあり、そこに「日報」も保存されていた可能性を指摘しました。データベースは容易に閲覧可能であり、情報公開請求があった時点でデータの存在は分かっていたのに、「廃棄」したとして隠蔽した疑惑が濃厚です。

 加えて問題なのは、稲田氏へのデータ発見の報告が1カ月もあとの今年1月27日だったことです。

 稲田氏への報告があった3日前の24日、日本共産党の志位和夫委員長が衆院本会議で「日報」の廃棄の是非をただしたのに対し、安倍晋三首相は廃棄を前提にした事実上の虚偽答弁をしました。首相は、志位氏への答弁時、「電子的に(データとして)残っているかどうかについて全く承知していなかった」と弁明しました(今月14日、衆院予算委)。しかし、真偽は不明のままです。

 稲田氏は、志位氏の質問に対する首相の答弁づくりには「もちろん防衛省も関係する」と述べています(同前)。志位氏の質問時点では既に「日報」のデータは見つかっていたのに、防衛省が意図的にそのことを隠蔽し、虚偽の答弁につながった疑いもあります。

 稲田氏は自身への報告が1月27日になった理由について、統合幕僚監部が「日報」のデータのどこの部分を不開示(黒塗り)にするのかなどを決めるのに時間がかかったと言い訳しています。しかし、稲田氏には、不開示部分を決めなくてもデータの発見時点ですぐに報告できるはずです。稲田氏に防衛省・自衛隊への指揮・監督能力がないのは明らかであり、防衛相としての資格が問われます。

黒塗り全て明らかに

 「日報」は、「激しい戦闘」といった表現で南スーダンの内戦悪化の深刻さを報告しています。稲田氏は、「日報」をめぐり「隠蔽の意図も、隠蔽しなければならない内容もない」(同前)と答えていますが、黒塗り部分は開示しようとしません。ジュバで何が起こり、自衛隊はどんな状況に置かれているかなどの情報を国民と国会に示すべきです。“憲法9条があるから戦闘とは言えない”などという不当な姿勢は許されません。


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