2017年2月17日(金)
隠蔽体質極まった安倍政権
憲法破壊・国会軽視根源に
陸上自衛隊が派兵されている南スーダンが危険な戦闘状態にあることを記した文書を隠していた稲田朋美防衛相。国民の内心を処罰の対象とする共謀罪(テロ等準備罪)法案について“質問封じ”を求める文書を配った金田勝年法相―。安倍政権の隠蔽(いんぺい)体質が極まっています。共通するのは憲法破壊と国会軽視の姿勢。安倍政権が進める政治そのものに問題の根源があります。
270人以上が死亡した昨年7月の南スーダンの首都ジュバでの大規模戦闘について当時の陸自派兵部隊の日報には、戦車や迫撃砲が戦闘に使われ、陸自宿営地周辺でも戦闘が起きていたことが記されていました。ジュバでの大規模戦闘の生々しい実態が防衛省に報告されていたことが明らかとなったのです。
“憲法上の問題”
ところが、稲田氏は日報発見後も、ジュバで起きたのは戦闘ではなく「武力衝突」だと言い張り、理由として戦闘と認めれば「憲法9条上の問題になる」と答弁しています。南スーダン派兵が憲法に反することを認めたようなものです。
防衛省は当初、日報を廃棄したと説明。昨年12月末にデータが「発見」された後も1カ月以上明らかにせず、国会でも廃棄を前提とした答弁が繰り返されました。
日報廃棄の是非をただした1月24日の日本共産党の志位和夫委員長の衆院代表質問に、安倍首相は関係法令や規則に基づいて取り扱っているので問題ないと答弁していました。憲法が「国権の最高機関」と定める国会に、政府が偽りの答弁をしていたのです。
野党の追及に稲田氏は、代表質問の時点では日報の存在は知らなかったと言い訳に終始しました。たまらず“救援”に駆けつけた首相は「志位さんの質問は破棄を前提にしていた」「聞かれたことにしか答えられない」などと詭弁(きべん)を弄(ろう)しました。
防衛省は日報の“黒塗り作業”に時間がかかって報告が遅れたといいます。日報の存在を隠したうえ、隠しきれなくなったとみるや資料を黒塗りにする二重の隠蔽で、担当閣僚として資格はありません。
追及耐えられず
憲法破壊、国会軽視は金田法相も同様です。
共謀罪法案をめぐる予算委員会での野党の追及に耐えられなくなると、政府が法案を提出していない段階での質疑をやめるよう求める文書を配布。法執行をつかさどる法相が憲法の「三権分立」の原則を侵し、政府が国会審議に介入する異常な行為です。
金田氏は、文書については撤回したものの、法案提出前を口実にした答弁拒否の姿勢は依然変えていません。野党側の質問に答えられず、答弁も二転三転。これ自体、閣僚の適格性が問われています。
安倍政権は、都合の悪いことには口をつぐみ、反対の声がいくら強くても悪法を数の力で乱暴に押し通してきました。
世論の圧倒的多数が反対していたカジノ解禁推進法は、昨年の臨時国会の会期延長後に突如法案を提出し、短時間の審議で強行。法案になってから審議をというのは強行採決の予告に等しいものです。
稲田防衛相・金田法相語録
【稲田防衛相】
●「(日報での「戦闘」記載について)憲法9条上の問題になる言葉を使うべきではないということから、私は武力衝突という言葉を使っている」(8日の衆院予算委員会)
●「日報の中では、一般的な辞書的な意味において『戦闘』という言葉を使われたと推測している」(同)
●「隠ぺいする意図がないからいま開示しているんじゃないでしょうか。隠ぺいを組織ぐるみでやったということについて、私は否定する」(14日の衆院予算委員会)
【金田法相】
●「(質問封じの文書の撤回・謝罪だけでは事態を収拾できないと問われ)ただいまのご意見に対しては、私はちょっと、私の頭脳というんでしょうか、ちょっと対応できなくて申しわけありません」(8日の衆院予算委員会)
●「(文書を撤回・謝罪した後も)成案を得た段階で十分にご説明をしてまいりたい」(9日の衆院予算委員会)