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2017年2月15日(水)

論戦ハイライト

新任務付与ありき――政府ぐるみの隠ぺい工作

PKO日報 データベースで「容易に検索」

衆院予算委 笠井議員の質疑

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(写真)質問する笠井亮政策委員長=14日、衆院予算委員会

志位質問に虚偽答弁

 14日の衆院予算委員会で、南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派遣されている陸上自衛隊の「日報」問題を取り上げた日本共産党の笠井亮政策委員長。笠井氏は、「日報」が自衛隊内の閲覧可能なデータベースに保存されていたのではないかとして、自衛隊への新任務付与を進める安倍政権が組織ぐるみで「日報」の隠ぺい工作をしていた実態を告発しました。

 防衛省は昨年12月26日に「日報」の電子データを発見したと説明しています。ところが、安倍晋三首相は1月24日の衆院本会議で、日本共産党の志位和夫委員長に「日報」があるともないとも言わずに答弁していました。

日報は廃棄と説明

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(写真)昨年7月12日付の「モーニングレポート」に含まれている前日(11日)の「戦闘」による「着弾」や「射撃」、「中国軍兵士死傷」などの事案が発生した位置を示す地図。反政府勢力(IO)関連施設はすべて黒塗りされている

(拡大図はこちら)

 笠井氏は、安倍首相の答弁姿勢を厳しく追及。さらに、志位委員長の代表質問の翌25日には、日本共産党の山下芳生副委員長に対して、防衛省が「日報」は「廃棄されている」と説明していたことをあげ、次のようにただしました。

 笠井 防衛省は国会議員にも事実と違う虚偽説明を押し通そうとしたのではないか。隠ぺいしようとしてきたことは明らかだ。

 稲田朋美防衛相 隠ぺいする意図も、隠ぺいする必要もない。

 笠井 明らかに事実と違う虚偽の説明だ。隠ぺい以外、何ものでもない。

 笠井氏は、陸自研究本部が作成した「南スーダン派遣部隊に係る教訓要報」に、「陸自指揮システム等で閲覧可能」な「教訓センターデータベース(CGLLDB)」と呼ばれる機能があり、「過去の派遣や訓練などの教訓が蓄積され」「容易に検索できる」とあることを指摘し、防衛相をただしました。

 笠井 電子データは「教訓センターデータベース」にあったのではないか。

 防衛相 統幕(統合幕僚監部)のなかにあった。

 笠井 データベースの中にあったのか。

 笠井氏は、「日報」の電子データの保管場所について追及。防衛省の通達(2010年3月2日付)では、「部隊等からの聞き取りから得られた成果」は、「不測事態で失われることがないよう複数の媒体の使用に努める」としています。

 笠井氏の追及に、稲田防衛相は、何度も答弁不能となり、「確認して答える」と逃げました。笠井氏は「(防衛相の)管理能力が根本から問われる」と厳しく批判しました。

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(写真)「南スーダン派遣部隊(展開から地域拡大任務準備まで)に係る教訓要報」(陸上自衛隊研究本部作成)に明記されている「教訓」の蓄積、共有の仕組み。あらゆる報告書が全部隊で共有されている

(拡大図はこちら)

「武力紛争」隠ぺい

 さらに、防衛省が公表を始めた「日報」も、黒塗りだらけです。笠井氏は、「IO(反政府勢力)関連施設」をすべて黒塗りにしていることを指摘。反政府勢力が「支配領域」などを有していないことを理由にPKО法上の「武力紛争」を否定している安倍政権を、次のようにただしました。

 笠井 反政府勢力の「関連施設」、すなわち「支配が確立されるに至った領域」があり、「武力紛争」が発生しているのに、それを隠すために黒塗りにしているのではないか。

 防衛相 基準にのっとって黒塗りにした。

 笠井 7月に(南スーダンの首都)ジュバで何が起こったか、国民に知らせない合理的な理由は一つもない。

 笠井氏は「日報」の黒塗りをすべて開示するよう要求。安倍政権がPKО派遣部隊に「駆け付け警護」の新任務を付与するために、「南スーダンの危険な現実を国会と国民に隠ぺいした」と厳しく糾弾しました。

「発見」後も「廃棄」前提に説明

防衛相「検証したい」

PKO日報で政府

 稲田朋美防衛相は14日の衆院予算委員会で、当初「廃棄」したとしていた南スーダンPKO(国連平和維持活動)の陸上自衛隊派遣部隊の日報が昨年12月26日に発見された後も、政府が「廃棄」を前提とする国会答弁を行っていたことを追及され、「検証・調査したい」と答えました。民進党の辻元清美氏への答弁。

 日報発見から約1カ月後の1月24日の衆院本会議で、日報を「廃棄」した自衛隊幹部の行為の是非をただした日本共産党の志位和夫委員長の代表質問に対し、安倍晋三首相は「廃棄」を前提に「公文書等の管理に関する関係法令および規則に基づき取り扱っている」と答えていました。

 防衛省は日報の電子データの存在を昨年12月26日に確認し、志位氏の質問翌日の1月25日には統合幕僚長に報告。稲田防衛相には27日に報告していました。

 稲田氏は予算委員会で、「一般論として総理の答弁は関係各省、官邸が調整した上でつくる」と答弁。辻元氏は「政権ぐるみで隠ぺいしていたことになるのではないか」と指摘しました。

 安倍首相は、志位氏の代表質問について「破棄したこと(の是非)を聞かれている」とし、「本会議だから聞かれたことにしか答えられない」と開き直りました。

南スーダンPKOの「日報」問題の経緯

2016年

 9月30日 ジャーナリストの布施祐仁さんが情報開示請求

 11月15日 南スーダンPKO派遣部隊に「駆け付け警護」の新任務付与の閣議決定

 11月20日 第11次派遣隊の先遣隊が日本を出発

 12月2日 防衛省が「日報を廃棄していた」と不開示決定

 12月16日 防衛省が日報の廃棄を稲田防衛相に報告。稲田氏が再調査を指示

 12月26日 統合幕僚監部が日報のデータを発見


2017年

 1月24日 志位委員長が代表質問で日報問題について質問。安倍首相は「法令および規則に基づき取り扱っている旨の報告を受けている」などと廃棄前提で答弁

 1月27日 統合幕僚監部が稲田防衛相に日報の存在について報告

 2月7日 日報を一部黒塗りで開示


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