2017年2月11日(土)
きょうの潮流
マスコミ9条の会・日本ジャーナリスト会議のイベントでのこと。元キャスターの杉尾秀哉参院議員が1枚の紙を掲げ読み始めると、参加者が身を乗り出しました▼3年前の総選挙前に自民党がテレビ局に申し入れた、選挙報道に関する要望書です。出演者の発言回数、時間は公平に。ゲスト出演者の選定にあたっても公平公正に。街頭インタビュー、資料映像も公平公正に。「びっくりしました。街頭インタビューにまで介入してくるとは」と杉尾さん▼当時も大きな問題になったこの文書。しかしテレビ局が自民党に抗議することは、ついにありませんでした。そして萎縮だけが進み、昨年の参院選では選挙報道そのものが激減…▼同じくゲストの中野晃一さん(上智大学教授)。ニューヨーク・タイムズ紙が、トランプ米大統領と対峙(たいじ)し、権力を監視する気概を見せる中で、30万部売り上げを増やしたことを紹介します。一方、日本のメディアはどうか。「衝撃なのは、マスコミの論調が『安倍さんはトランプに気に入ってもらえるかな』ということに終始してしまっていることです。トランプに気に入られたら、大変なことになるでしょう」▼先ごろ見た、情報番組もまさにそうでした。日米首脳会談後のゴルフで、いかに信頼関係を構築するか。トランプ大統領が世界から批判を浴びている今だからこそ、気に入られるチャンスだ、といわんばかりです▼今日未明、開かれた日米首脳会談。これをどう報じるか、メディアの良識が試されます。