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2017年2月11日(土)

主張

「建国記念の日」50年

改憲と結ぶ歴史の偽造を問う

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 きょう11日は「建国記念の日」です。1967年にこの日が「国民の祝日」となってから、今年はちょうど50年となります。

閣僚らが「神武天皇」賛美

 2月11日は、もともと戦前の「紀元節」でした。「紀元節」は、明治政府が1873年、天皇の支配を権威づけるため、「日本書紀」に書かれた建国神話をもとに、架空の人物である「神武天皇」が橿原宮で即位した日としてつくりあげたもので、なんの科学的・歴史的な根拠もありません。

 しかも明治政府は、天皇が国を統治する全権限を握る専制政治体制を定めた大日本帝国憲法の発布(1889年)や、日露戦争開戦の新聞発表日(1904年)をこの日に合わせるなどして、国民を天皇崇拝と軍国主義に動員するために利用してきました。

 戦後、国民主権と思想・信教・学問の自由をさだめた現行憲法のもとで、「紀元節」は48年に廃止されました。自民党は「紀元節」復活を意図し、57年以降、祝日法改悪案を8回にわたり提出しましたが、そのたび国民の強い批判が巻き起こり、昭和天皇の末弟で、昨年死去した三笠宮崇仁(たかひと)氏が「歴史研究者として、架空の年代を国の権威をもって国民におしつけるような企てに対しあくまで反対する」(『文芸春秋』59年1月号)とのべる状況もありました。

 自民党の佐藤栄作内閣は66年6月、こうした広範な反対の声を押し切って、日付を決めないまま「建国記念の日」を制定する祝日法改悪案を強行し、同年12月に政令でその日を2月11日とすることを決めました。

 これが日本国憲法の思想・信教・学問の自由を踏みにじるものであることは明らかです。それは天皇元首化など憲法改悪の企てとも結びついた政治反動の重大な計画の一つでもあったのです。

 こうした「建国記念の日」制定の経過を改めてふり返るとき、最近、安倍晋三政権の閣僚や自民党議員が「神武天皇」を実在の人物であるかのように語る場面が増えていることは見過ごせません。

 稲田朋美防衛相は昨年、11月3日の「文化の日」を、明治天皇の誕生日を祝う「明治の日」に変えようという運動団体の集会で「神武天皇の偉業に立ち戻り、日本のよき伝統を守りながら改革を進めるのが明治維新の精神だった」とあいさつしました。自民党の三原じゅん子参院議員も、昨年7月の参院選開票番組で「神武天皇の建国のその時からの歴史というもの、すべてを受け入れた憲法をつくりたい」とまでのべています。

 こうした発言の続出は、安倍政権自体が、侵略戦争を肯定・美化し、歴史を偽造する極右勢力によって構成され、支えられていることと不可分のものです。しかも、それが改憲とセットで語られていることは軽視できません。

思想・信教の自由守ろう

 自民党の「憲法改正草案」は、天皇を「日本国の元首」と明記するとともに、「公益及び公の秩序」の名で基本的人権を抑圧できる仕組みに変えようとしています。

 「建国記念の日」50年にあたって、日本共産党は、不承認の立場を改めて表明するとともに、安倍政権による歴史の偽造と改憲の企てを許さず、日本国憲法の国民主権の原則と思想・信教・学問の自由を守りぬく決意です。


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