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2017年2月10日(金)

主張

南スーダン陸自日報

「戦闘」隠し派兵を続けるのか

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 防衛省は、南スーダンPKO(国連平和維持活動)の陸上自衛隊部隊が昨年7月の首都ジュバでの大規模戦闘の状況を記録した日報などの文書を公表しました。同省は情報公開請求に対し、昨年12月に「廃棄」を理由に不開示にしましたが、一転、保管を認めました。文書は「激しい戦闘」といった表現で情勢悪化の深刻さを報告していましたが、安倍晋三政権は当時、「散発的な発砲」だと偽り続けました。陸自部隊の派兵延長や安保法制=戦争法に基づく「駆け付け警護」などの新任務付与に向け、不都合な情報を隠したのではないか。徹底した究明が必要です。

通用しない独善的解釈

 陸自部隊の日報などの文書は多くが黒塗りで隠されていますが、それでも昨年7月のジュバ市内での大統領派(政府軍)と前副大統領派との戦闘の様子を生々しく伝えています。▽「TK(戦車)射撃含む激しい銃撃戦」(11日日報)▽「戦車や迫撃砲を使用した激しい戦闘」(陸自派兵部隊の上級部隊である中央即応集団司令部12日報告)―などです。

 「UN(国連)トンピン」と呼ばれる地区にある陸自宿営地のすぐ近くで激しい戦闘が繰り広げられたことも記述されています。

 ▽「突発的な戦闘への巻き込まれに注意が必要」(11日日報)▽「宿営地外近傍施設(UNトンピン外)への直射火器の弾着を確認」(中央即応集団司令部12日報告)▽「日本隊宿営地西側、UNトンピン外のトルコビル一帯において、SPLA(政府軍)戦車1両を含む銃撃戦が生起、日没まで戦闘継続」(同13日報告)

 事態が悪化した場合には、「ジュバでの衝突激化に伴うUN活動の停止」や「ジュバ市内での大量のIDP(国内避難民)の発生」(11日日報)も予想していました。

 これほど深刻な内戦について安倍政権が、「戦闘」ではなく「発砲事案」だとか「衝突」だとごまかしてきた責任は極めて重大です。

 国会で追及された稲田朋美防衛相は、日報の「戦闘」という表現は「法的な意味の戦闘行為ではない」「憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではない」と居直りましたが、到底通用しません。

 PKO法は、自衛隊が憲法違反の武力行使を避けるためとして、「武力紛争」停止の紛争当事者間の合意など「参加5原則」を定めています。PKO法に「武力紛争」の定義はありませんが、政府は「国家または国家に準ずる組織(国準)」の間の「戦闘行為」と非常に狭く解釈しています。南スーダンの前副大統領派は「国準」には当たらないとし、いくら大規模な戦闘が起きても「戦闘(行為)」とは決して言いません。派兵ありきのあまりに独善的な解釈です。

違憲の武力行使の危険

 加えて重大なのは、日報(12日)が「SPLAによるUN施設方向への攻撃には引き続き注意が必要」と述べていることです。南スーダン情勢に関する一連の国連報告書は、政府軍がPKO部隊に対し、移動妨害や要員の拘束、襲撃など敵対的行為を組織的、継続的に行っているとしています。「駆け付け警護」の新任務を付与された陸自部隊が政府軍に武器を使用すれば、日本政府の解釈からも違憲の武力行使となります。

 稲田防衛相をはじめ安倍政権の責任が厳しく問われます。


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