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2017年2月9日(木)

主張

3・1ビキニデー

核兵器禁止へ時代開く節目に

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 1954年3月1日、南太平洋マーシャル諸島のビキニ環礁でアメリカが行った水爆実験は、第五福竜丸を含め1400隻以上の漁船と、周辺の島民を被ばくさせるなど甚大な被害をもたらしました。日本ではこの被災を契機に、核兵器の禁止・廃絶を求める国民的な運動が発展しました。

画期的な国連会議控え

 この事件をきっかけに開始された原水爆禁止の署名は、当時の有権者過半数に迫る3200万人に達しました。この運動の高まりが、第1回原水爆禁止世界大会(55年)を実現しました。それ以来3月1日はビキニデーとして、8月6日、9日の「ヒロシマ・ナガサキ」の日とともに、内外の反核平和運動の重要な節目とされ、第五福竜丸の母港であった静岡県焼津市を中心に集会が行われてきました。

 今年は、歴史的な情勢の下でビキニデーを迎えます。国連総会は昨年末、圧倒的多数の賛成で、核兵器禁止条約を交渉する会議の開催を決定しました。3月27日が開会日です(第1会期は3月31日まで、第2会期は6月15日〜7月7日)。被爆者をはじめ、世界の反核平和運動は長年、核兵器禁止条約を求めてきました。広島・長崎へのアメリカの原爆投下から70年余、ようやく「核兵器のない世界」へ扉が開かれようとしています。

 核保有国はこの動きに強く反発しています。米ロ英仏は交渉開始の国連決議に反対、中国は棄権しました。とりわけアメリカは同盟諸国に、国連決議に反対票を投じることや、交渉に参加しないことなどを求める書簡を送るという、これまでにない異常なやり方で圧力をかけました。核兵器禁止条約が締結されれば、核兵器は「違法化」され、核保有国が最初は参加を拒否しても、政治的・道義的拘束を受けることになるからです。禁止条約が実現すれば、核保有国への批判はさらに高まり、核兵器廃絶に向けて世界は新しい段階に入ることは明らかです。

 ところが日本政府は、「核兵器のない世界」は段階的にやってこそ実現できるという核保有国の主張をそのまま繰り返し、禁止条約に否定的です。アメリカの圧力に屈して国連決議に反対票を投じました。日本政府は、このような態度をあらため、ヒロシマ・ナガサキが示す核兵器の非人道性を訴え、禁止条約実現に尽力すべきです。核軍拡を公言するトランプ政権に追随する安倍晋三政権の姿勢をただすことは、日本の運動に課せられた国際的な責務だといえるでしょう。

 ビキニで被災した日本のマグロ漁船の元乗組員や遺族らが、乗組員の健康被害を放置し、事件の全容を意図的に隠し続けた国に国家賠償を求める訴訟を起こしています。放射線被害を隠そうとするアメリカと「政治決着」をはかった政府を問うたたかいは、今日いっそう大きな意義をもっています。

世論と運動を力にして

 画期的な情勢を切り開いてきた根本的な力は、被爆者を先頭とする反核平和運動のたゆまぬ努力です。「ヒバクシャ国際署名」には、思想信条や党派、宗教を超えた広範な人々の賛同が寄せられつつあります。3・1ビキニデー集会・諸行事(27日〜3月1日、静岡市と焼津市)が、新しい時代を開く、運動の重要な節目として成功することが期待されています。


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