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2017年2月6日(月)

文科省天下り問題の焦点

行政のゆがみ究明を

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 文部科学省からの組織的な天下り(再就職)あっせん問題が連日国会で追及されています。これまでに浮かび上がった実態や問題点は―。(和田肇)


 安倍政権は2007年の国家公務員法改定で天下りを原則自由化する一方、省庁によるあっせん行為や、在職中の求職活動などに限って禁止しました。

違法なあっせん

 退任後2カ月で早稲田大学に天下りした吉田大輔元高等教育局長は在職中、早稲田大に再就職するため文科省人事課を通じて履歴書を早稲田大に提出しました。国家公務員法に明白に違反するケースです。松野博一文科相は「再就職の規制の理解が不十分で関連法令の順守の意識が不足していた」と弁明しました。しかし、内閣府再就職等監視委員会の調査に対し、文科省は早稲田大と口裏を合わせてごまかそうとしていました。違法と認識していたことの表れです。文科省は違法と知りながらなぜあっせんしていたのか、早稲田大もなぜ受け入れたのか―などの解明はこれからです。

 これとは別に、文科省人事課OBが天下りの仲介役を務める「OBルート」が作られていました。大学からの求人情報を文科省人事課がOBに流し、OBが大学に人物を紹介するという流れです。国家公務員法は天下りへのOBの仲介を規制していませんでした。

 このOBは、一般社団法人「文教フォーラム」の理事長の肩書を持っています。同フォーラムは、文科省の天下り先となっている公益財団法人「文教協会」の分室的な位置付けで、事務所賃料(年間約300万円)は文教協会が負担していました。

 文科省は、文教協会に対し「全国大学一覧」など書籍の購入費や補助金交付などで09年度以降約1億5000万円を支出。仲介役OBは同協会の参与でもありました。

 文科省の前川喜平前事務次官=依願退職=は、組織的天下りの仕組みを認識した上で、仲介役のOBと協力。文教協会には、次の天下りのため代表理事のポストが空くか確認していました。

 脱法的なOBルートを現職官僚と天下り官僚が支えている形です。どうやってOBルートが作られたのか、天下り団体の実態は―など真相究明が必要です。

 日本共産党の宮本岳志衆院議員の調査で、文科省から大学への天下りは09年以降、のべ133人に上ることが判明。退任後2カ月以内の再就職は90人近くいて、省庁のあっせんの有無などの究明が求められます。

安倍政権の責任

 文科省は、国立大への運営費交付金や私立大への経常費補助などを出す側の立場です。それが天下って補助金を受け取る側にいて何をしていたのか。これまでに分かっただけでも、07年に天下りを自由化した安倍政権の責任は免れません。政官業の癒着につながる天下りそのものを禁止する、抜本的な見直しに踏み込めるかが焦点になっています。

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