2017年2月4日(土)
「共謀罪」法案 処罰範囲 制限なし
危険な構造浮き彫りに
安倍政権が今国会に提出を狙っている「共謀罪」法案をめぐり、3日の衆院予算委員会で、政府が対象犯罪を限定する要件だと説明している「準備行為」が、処罰範囲を何ら限定するものではなく、警察が危険だと恣意(しい)的に判断すれば何でも逮捕できる構造になっていることが明らかになりました。
法務省は、「テロ組織が殺傷能力の高い化学薬品を製造し、これを用いて同時多発的に一般市民の大量殺人を行うことを計画した上、例えば、殺傷能力の高い化学薬品の原料の一部を入手した場合」に現行法では対応できない抜け穴があるなどとして、「共謀罪」が必要だと説明しています。
しかし、化学薬品を使用したテロについては、地下鉄サリン事件後に「サリン等による人身被害の防止に関する法律」が制定され、サリン等の毒ガスの製造・所持・発散を禁止、処罰するほか、予備罪もあります。
この点で民進党の山尾志桜里議員は、「サリン等にあたらないけど殺傷能力の高い薬品の名前を挙げてほしい」と追及。金田勝年法相は「具体的な薬品を想定していない」と答えました。
安倍晋三首相は、テロ組織あるいは国家ぐるみで、化学兵器になる毒性物質を「ひそかに開発しているのは当然のことであろう」「未知のものであっても準備を行っていることが明らかになれば検挙できる」と強調し、法律で処罰範囲を具体的に示さなくても犯罪として逮捕できるとの認識を示しました。
これでは捜査機関が危険と判断すればいくらでも処罰範囲が拡大することになります。
これに対し、山尾氏は「罪刑法定主義、明確性の原則、国民の予測可能性を担保するという、わが国が積み上げてきた刑法典の根本を覆す答弁だ」と厳しく批判しました。