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2017年1月30日(月)

NHK日曜討論 笠井政策委員長の発言

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 日本共産党の笠井亮政策委員長は29日のNHK日曜討論で、第3次補正予算・来年度予算、トランプ米政権への対応、文部科学省の「天下り」問題、「共謀罪」法案について、各党の政策責任者と議論しました。


予算案

軍事増、社会保障減から転換を

 予算案に関して、日本経済と国民生活の現状認識を問われた自民・茂木敏充政調会長は「アベノミクスは順調に推移している」、公明・石田祝稔政調会長も「アベノミクスの効果が表れてきているのは間違いない」と述べました。

 笠井氏は「国民にはその実感はない」と述べ、大企業の内部留保が386兆円と過去最高となる一方、実質賃金は4年前に比べて年収で19万円も減り、家計消費は15カ月連続でマイナスになっていることを指摘。「富裕層に富が集中する一方、中間層が疲弊し、貧困層が拡大している」と語りました。

 笠井氏は「格差と貧困をただして中間層を豊かにする方向に、経済政策の根本を据えるべきだ」として、税の集め方・使い方や働き方の転換、大企業と中小企業の格差是正など、「経済に民主主義を貫く改革をする必要がある」と提起しました。

 民進・大串博志政調会長は、補正予算で赤字国債を追加発行するのはリーマン・ショック以来であり、「アベノミクスの限界が露呈している。本予算も国民の将来不安を払しょくする内容にはなっていない」と批判しました。

 茂木氏は社会保障削減を「『自然増』を5000億円に抑制できた。良い形にまとめることができた」と誇りました。

 笠井氏は、アベノミクスの行き詰まりで税収が落ち込み、社会保障費を、高齢化に伴う自然増まで概算要求より1400億円も削って5000億円に抑え込む一方、軍事費は5年連続で5兆円を超え、海外派兵型の装備を増強していると批判し、「こういうやり方はきっぱり中止し、社会保障の充実に向かうべきだ」と主張しました。

トランプ新政権

米国追随から対等・平等の関係に切り替えを

 続いて、米国のトランプ新政権への対応や今後の日米関係が話題になりました。

 安倍晋三首相とトランプ大統領との日米首脳会談が2月10日に決まったことを受けて、自民・茂木氏は「先進国の中でもかなり早いタイミングだ。日米の絆を再確認し、関係を深化させていく」と表明しました。

 笠井氏は「世界一の超大国のリーダーが、軍事、経済の両面で自国の利益や金持ち中心主義を押し付けることは非常に危険だ」と警鐘を鳴らしました。

 「世界で1%の富裕層・大企業のためでなく、99%のための政治が問われている中で、トランプ大統領の『米国第一主義』は正反対の方向だ」と指摘。「『アメリカファースト』に対し、安倍首相の『日米同盟ファースト』というのが一番悪い組み合わせになる。とんでもない道に引き込まれることになる。日米同盟第一でいいのか、真剣に問い直すときだ」と語りました。

 笠井氏は「異常な米国いいなり、追随外交を根本から見直し、対等・平等・友好の日米関係に切り替えることが、これまでにも増して大事になっている」と強調しました。

 トランプ氏が環太平洋連携協定(TPP)に代わり2国間協議を推進する方針を示していることについて、民進・大串氏は「昨秋、TPPを強行的に採決・承認したことは非常に下策だ。(トランプ氏から)さらに譲歩してくれと言われることになる」と述べました。

 自民・茂木氏は「野党のように悲観的、疑心暗鬼になると2国間関係はうまくいかない。大きな枠組みの中でどう協力するか、ウィンウィン(相互利益)の関係はつくれる」と主張。2国間協議も「排除しない」とし、「通商だけでなく広い範囲でどう協力できるか、協議する方が建設的だ」と語りました。

 笠井氏は「2国間交渉でさらに乱暴な譲歩を迫ってくるトランプ政権に対して、経済主権や食糧主権を守る立場で対応できるかが問われる」と指摘。TPPでは、農産物重要5品目で無傷なものはなかったことが国会審議で明らかになり、日米の並行協議でも秘密合意があるとされるなか「トランプ政権側から2国間協議をやられたら、あらゆる分野でとんでもないことになる。国民生活と経済主権を売り渡すような不公正な交渉を許さない立場でしっかり臨むことだ」と求めました。

 TPPについて、公明・石田氏は「総理も『粘り強くメリットを話す』と言っているので、まずは首脳会談でそれをやってもらいたい」と、固執する姿勢をみせました。

 日本維新の会の浅田均政調会長も「TPP合意をスタートラインに、できるだけそこに引き付けていく形で、日本に有利にもっていくよう、他のTPP参加国と協力していくべきだ」と述べました。

「天下り」あっせん

原則自由化した安倍政権の責任重大。根絶を

 文部科学省の組織的「天下り」あっせん問題について笠井氏は、「予算の配分権限を持っていた人が、助成金を有利に受け取る側にいく。特権高級官僚が退職後も行政をゆがめるという政官業の癒着の典型的な話で、絶対に許されない」と批判しました。

 2007年までは、離職後2年間は職務と関係のあるところへの天下りは原則禁止されていたのに、第1次安倍政権が原則自由に変えてしまったもとで今回の事件が起きたことを指摘し、「大本をしっかり改めないといけないところに来ている」と強調しました。

 民進・大串氏も「笠井さんがいうように、第1次安倍内閣の公務員制度改革が、天下りに関して規制緩和したことが一番大きな根本問題」と述べました。

 自民・茂木氏は「法律が不十分というより、法律に違反したことが問題」と言い訳。これに対し、笠井氏は「その法律がザルだということだ。あっせん禁止とか罰則付きかどうかではなくて、政官業の癒着を生むような天下りそのものの根絶に踏み込まないと解決できない」と述べました。茂木氏は「そのようにさせていただきます」と応じました。

「共謀罪」法案

名前変え、対象絞っても憲法違反の大悪法

 安倍内閣が国会提出をねらう「共謀罪」法案について、自民・茂木氏は「テロを防止するために国際組織犯罪防止条約に入る必要があるが、日本には国内担保法がないため条約を締結できない」と表明。「共謀罪といわれるものには懸念も強かったが、新しく『テロ等準備罪』をつくる」「犯罪件数も六百数十件から相当絞り込まれる」「(処罰対象となる)集団は、暴力団や麻薬密売、テロ組織に限定する」と述べました。

 民進・大串氏は、国際組織犯罪防止条約は国連がいうテロに関する条約に入っておらず、共謀罪をつくった国はたった2カ国だと指摘し、「国民に偽りの説明をして通そうとしている」と述べました。

 笠井氏は「テロ等準備罪というが、政府が恣意(しい)的に犯罪集団を認定する危険がある。準備行為とは何かも明確でない」と指摘しました。

 これまで676とされた対象犯罪を300程度に絞ることについても笠井氏は、テロに関するものは167で、それ以外も含めて「『テロ等』の名で結局、準備行為が罰せられることになる」と強調。「名前を変えても対象を絞っても、過去3回廃案になってきた共謀罪と変わりはない。実行行為のみを処罰する刑法の原則と思想信条の自由を保障した憲法に違反する大悪法だ」と批判しました。


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