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2017年1月30日(月)

主張

奨学金・学費の改革

政治の姿勢変えれば打開可能

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 経済的理由で大学に進学できない、学業を続けられない―。格差と貧困の広がりの中で、学ぶ機会が奪われる若者が増えていることは日本社会の大問題です。安倍晋三政権はようやく返済不要な給付型奨学金の導入を決めましたが、あまりに規模が小さく、関係者に失望を広げています。高すぎる学費の問題を抜本的に解決する意思もまったくみせません。若者が「お金がなくて学べない」状態を本格的に打開するために、政治の姿勢を変えることが、いまこそ求められます。

生活費は1日850円

 日本の大学の授業料は国立の標準額が約54万円、私立は平均で約86万円です。入学金などを含めると大学進学1年目に収める額は国立で約82万円、私立は平均約131万円にもなります。経済協力開発機構(OECD)加盟国の半数で大学の学費が無償になっていることから見て異常な高さです。国民の所得が低下している中で、大学授業料は90年に比べて国立で約20万円、私立は平均で約25万円も上がり、経済的にはますます“狭き門”になっています。

 東京地区私立大学教職員組合連合が毎年行っている調査によると、首都圏の私立大学生への平均仕送り額は2001年度以降、15年連続で減少しています。仕送り額から家賃を引いた自宅外生の1日の生活費は平均でわずか850円(15年度)にしかなりません。

 学費や生活費を払えず進学をあきらめざるをえない。せっかく進学しても深夜までアルバイトで全然勉強ができない。さらには中退に追い込まれる。そんな若者たちを放置したままの国に未来はありません。

 世論と運動の広がりによって安倍政権は17年度から給付型奨学金の一部導入を決めました。しかし給付を受けられるのは、本格実施される18年度からでも1学年わずか2万人で、全学生に対する受給率は世界各国と比べ桁違いの低さです。こんな「すずめの涙」では経済的に苦しい広範な若者を支えることはできません。

 衆院予算委員会で給付型奨学金の抜本的拡充を求めた日本共産党の宮本徹議員の追及に、安倍首相らは財源を理由に後ろ向きの姿勢しか示しませんでした。

 今ある奨学金制度を改悪してやり繰りしようという安倍政権の発想では打開できません。財源がないのではなく、確保しようという本気の構えが政府にないのです。

 在日米軍の駐留経費負担などの無駄づかい、大企業を中心とする法人税減税の大盤振る舞いの見直しなどで財源は十分生まれます。政治の姿勢を変えれば、奨学金制度の大幅な拡充と改善、高すぎる学費の引き下げは実現できます。

高等教育予算の増額こそ

 日本共産党は(1)大学の授業料を国立も私学も段階的に引き下げ10年間で半減する(2)月額3万円(年間36万円)の給付型奨学金を70万人(学生総数の4人に1人)に支給する制度をまず創設し、規模を拡大する―を提案しています。

 日本は大学など高等教育への公的支出の割合がOECD諸国で下から2番目に低くなっています。税金の集め方や使い方を変え、高等教育予算をOECD平均並みにすることが必要です。憲法が掲げる教育の機会均等の実現へ向け国民の運動をさらに進めましょう。


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