2017年1月29日(日)
主張
オスプレイの墜落
米国の言いなり 異常極まる
昨年末、沖縄県名護市の海岸に米軍機オスプレイが墜落した事故をめぐる国会質疑を聞いて、安倍晋三政権の異常極まる対米追随ぶりに改めて強い怒りを感じました。沖縄県民の反対の声を無視し、米軍が事故後わずか6日でオスプレイの飛行を再開し、3週間あまりで空中給油訓練を始めた問題で、日本共産党の赤嶺政賢議員は衆院予算委員会(27日)で、日本政府が独自の情報を何も持たず、米側の説明を全てうのみにして「理解」を示していたことを浮き彫りにし、厳しく追及しました。県民や国民の安全よりも「日米同盟」を優先する政府の態度は許せません。
政府は調査の蚊帳の外
今回の事故は、現場の状況からすれば、オスプレイが墜落・大破したことは一目瞭然です。ところが、政府は「不時着水」と言い続けています。根拠は、米軍から「(事故機は)最後まで機体を制御できていた」(深山延暁・防衛省地方協力局長)との説明を受けたというものです。しかし、パイロットが機体をコントロール(制御)できていたなら、なぜ墜落現場のすぐ近くにある米軍基地キャンプ・シュワブに着陸しなかったのか。
赤嶺氏の追及に稲田朋美防衛相は、パイロットはキャンプ・シュワブを目指したものの、「途中、安全な飛行を続けることが困難であることを認識」したという米軍の分析を示しました。米軍の説明は、「最後まで機体を制御できていた」という一方、「途中で安全な飛行が困難になった」という矛盾したものになります。しかし、政府は米軍の主張をおうむ返しするだけです。まさに思考停止です。
政府は事故原因について、米軍の説明に沿って、空中給油訓練中にオスプレイのプロペラが乱気流などによりMC130特殊作戦機の給油ホースに接触したためであって機体の構造に問題はないとしています。果たしてそうなのか。
気象庁の橋田俊彦長官は、事故当時、沖縄本島周辺で機体の姿勢や高度がかなり変動する中程度以上の乱気流の予測や民間機からの報告はなかったと答弁しました。
事故は、MC130がつくる後方乱気流の影響でオスプレイがバランスを崩し、給油ホースに接触した可能性もあります。その分析のためには事故機とMC130のボイス・レコーダーやフライト・レコーダーの検証、搭乗員の事情聴取が不可欠であり、米軍も調査を継続中です。それなのに政府は「米側からの説明を受けて(原因の)見解をまとめた。ボイス・レコーダーを渡されたことはない」(深山局長)と述べました。日本政府が蚊帳の外なのは明白です。
どこが「独自に分析」か
オスプレイは両翼に大きなプロペラを持ち、給油ホースとの接触事故を起こす可能性は小さくありません。専門家からはプロペラが非常に壊れやすい構造になっていると指摘されています。赤嶺氏がプロペラの強度について確認しているのかとただしたのに対しても、政府は「米側に確認していない」(同前)と答えました。
今回の事故は、オスプレイの機体構造に起因していた可能性が否定できません。「再発防止について独自に分析を行った」(安倍首相)という答弁はあまりに空虚で無責任です。「極めて恥ずかしい、主権国家の政府にあるまじき態度」(赤嶺氏)の根本的転換が必要です。