2017年1月28日(土)
論戦ハイライト
軍事費より暮らしファーストに
宮本徹議員が追及 衆院予算委
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「これでは経済的理由で進学をあきらめる人はなくならない」。日本共産党の宮本徹議員は27日の衆院予算委員会で、安倍政権の給付型奨学金や社会保障の実態を告発し、財源がないと言い逃れる安倍晋三首相に、軍事ではなく暮らし優先に予算を切り替えるよう迫りました。
安倍首相は施政方針演説で、「どんな家庭に育っても、誰もが希望すれば、大学に進学できる環境を整えなければならない」と述べました。
宮本氏は、進学をあきらめる背景には、大学の初年度納付金が国立で約82万円、私立で131万円と非常に高額になっている問題があるとし、「高すぎる授業料を引き下げるべきだ」と主張。安倍首相は答弁に立とうとせず、松野博一文部科学相も高学費に手をつける姿勢を示しませんでした。
安倍政権の給付型奨学金は、対象者を住民税非課税世帯に限定し、定数も2万人と全学生の2・53%にすぎません。各高校に推薦枠を振り分ける仕組みです。
宮本 政府試算で収入基準を満たす生徒は1学年15万9千人、そのうち大学進学者が6万1千人いる。基準を満たす高校生が推薦枠より多くいたらどうするのか。
文科相 給付型奨学金が受けられない学生は無利子奨学金を受けることができる。
宮本 基準を満たしても給付型奨学金をもらえない人がいるということだ。
首相 限られた予算のなかで給付型奨学金を始めていきたい。財源を確保するなかで増やしていきたい。
宮本氏は、各国の給付型奨学金の受給率が米国47%、英国48%など格段に高いことを示し、収入要件を広げるよう主張しました。
給付型奨学金は、国立大学に自宅から通う場合は月2万円、同自宅外なら月3万円としています。しかし、授業料減免対象者の自宅生には支給せず、自宅外生は月額2万円とする計画です。
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宮本 住民税非課税世帯は国立大学なら全員授業料減免の対象者だ。つまり国立大の自宅生は給付型奨学金をもらえる人が1人もいないということだ。“看板に偽りあり”だ。
文科相 減免を受ける学生にさらに奨学金を支給するより、他のものに回した方がよいとの意見もある。
宮本 生活保護世帯の大学進学率は19%だ。今回の制度では経済的理由で進学をあきらめる人はなくならない。
宮本氏は、安倍政権が給付型奨学金の財源を大学院生の奨学金返還免除制度の縮小や奨学金借入額の制限で賄おうとしていることを告発。「小さなパイをめぐって、困っている人に譲り合いを求める。これで未来がみえるはずがない」と批判しました。安倍政権が実施した法人税減税が4兆円に上ることを示し、「学費の無償化と給付型奨学金の抜本拡充に真剣に努力すべきだ」と主張しました。
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高齢者の窮状聞かない首相
宮本氏は、負担増と給付減によって脅かされている高齢者の窮状を告発しました。
宮本 街を歩いていると、「老人と病人は早く死んでほしいと政府は思っている」という声をよく聞く。
首相 われわれは聞いていない。
高齢者の窮状をみようとしない安倍首相に対し、宮本氏は年金生活者の毎月の赤字額が安倍政権になって拡大していることを示すグラフを提示。塩崎恭久厚生労働相も「ギャップがあるのはその通り」と認めざるをえませんでした。
宮本氏は、日本の軍事費が安倍政権のもとで5兆円を突破し、後払いの「後年度負担」も1兆円以上増えていることを示し、「軍事費ファーストから暮らしファーストの予算に転換すべきだ」と主張しました。