2017年1月27日(金)
豊洲移転 赤字年98億円
都が試算 検証チームが会合
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築地市場(東京都中央区)の豊洲新市場(江東区)への移転について検証する都の市場問題プロジェクトチーム(座長・小島敏郎青山学院大学教授)の第5回会合が25日に開かれ、豊洲新市場を開場した場合、年間約98億円の赤字となる試算を都が明らかにしました。
都の市場会計収支試算によると、業者から受け取る施設使用料などの約68億円の収入に対し、維持管理費(76億5814万円)や減価償却費、人件費などを合わせた総経費は約166億円。経常損益は年間約98億円の赤字となります。
都の試算について、小島座長は「豊洲の赤字が他の10の市場の運営・維持管理を圧迫する構造となるのではないか」と指摘しました。
菊森淳文委員は「食の安全・安心が確保されない場合、経営が厳しくなるのは想像に難くない」と述べ、小島座長は「(土壌汚染対策で)地下ピットの追加工事が必要となれば、お金はどんどん消えていく」と赤字の拡大についても懸念を示しました。
都が築地市場跡地の売却益収入を4386億円と見積もった点に関して、森山高至委員が疑問を呈し、都は環状2号線用地部分の有償所管替単価に基づく試算だと回答しました。
また、事業者の運転費用について、都は東京魚市場卸協同組合が23日に発行した新市場ニュースを示し、棚使用料や空調費などの新たな負担が生じると説明しました。
会合終了後、小島座長は「開場後の赤字は想定されていたが、初めて数字が明らかになった」と述べ、経営計画などの数字がないままに事業が進められてきたことが問題だとの考えを示しました。