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2017年1月27日(金)

主張

社会保障削減計画

暮らし壊す「工程表」は中止を

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 社会保障費の伸びの一律カットをすすめている安倍晋三政権が、削減路線をさらに強化しようとしています。それをはっきり示しているのが、1400億円の「自然増」削減を盛り込んだ2017年度予算案と一体で決めた「『経済・財政再生計画』改革工程表」改定版です。すでに決まった削減計画の着実な実行を求めるとともに、17年度予算案に盛り込めなかった負担増・給付減の早期実現を迫る内容です。安倍政権の容赦ない社会保障費削減の下で、国民生活はすでに苦境に立たされています。暮らし破壊に拍車をかける「工程表」の推進をやめるべきです。

「自然増」削減の弊害明白

 75歳以上の後期高齢者医療制度の保険料アップ、70歳以上の高額療養費の負担上限引き上げ、療養病床に入院する65歳以上の光熱水費の負担増―。今年開始されようとしている医療分野での国民負担増の数々です。介護保険の分野では、一定の所得以上の人の利用料を3割負担にする法案が国会に提出されようとしています。

 それでは足りないといわんばかりに、さらなる負担などを求めたのが昨年末に決めた「工程表」改定版です。国民から異論が強く、今回の改悪を見送った介護「軽度者」の生活援助サービスの保険外しや、「かかりつけ医」以外を受診した場合の窓口負担上乗せなどの検討の促進をうたっています。

 負担が増える一方、いざというとき病院にかかれず、介護サービスを受けられない―こんな事態をさらに深刻化させる「工程表」改定版は、暮らしの現実を無視したものです。社会保障費の伸びが「財政健全化」を妨げていると決めつけ、その「自然増」をやり玉に挙げ、削減を繰り返す自民・公明政権のやり方はあまりに異常です。

 社会保障費「自然増」は人口の高齢化や医療技術の進歩などによって、一定の増加が避けられない費用です。ところが00年代初めに自公政権が、社会保障を「財政再建」の邪魔者扱いし、毎年2200億円の「自然増」を機械的にカットする削減路線を容赦なく実行、「医療崩壊」「介護難民」をはじめ年金、生活保護など各分野で暮らしの危機を引き起こしました。

 乱暴な削減路線には国民の批判が集中し、自公政権もその問題点を認めざるをえない事態になったものの、12年末に政権復帰した安倍政権は、反省もなく「自然増」削減路線を復活させたのです。

 15年に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」では、「自然増」を年5000億円程度に抑制する方針を打ち出しました。その中では“社会保障費の増加を抑えることが、経済成長に寄与する”とまで明記しました。国民の暮らしと権利を支える社会保障本来の役割を事実上無視した議論です。安倍首相が施政方針演説で「自然増」削減を“成果”と自慢したことと相通じる危険な発想です。

税の集め方・使い方改め

 自公政権による「自然増」削減額は02〜09年度、13〜17年度で計3兆3千億円にのぼります。これに対し、大企業を中心にした法人税減税は第2次安倍政権だけで4兆円に達します。「財政健全化」といって社会保障費を削減しながら大企業は優遇―。政治の姿勢が逆さまです。税の使い方、集め方の改革をすすめ、社会保障本来の機能を回復させることが急務です。


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