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2017年1月26日(木)

安倍政治の抜本的転換迫る

参院本会議 小池書記局長の代表質問

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 日本共産党の小池晃書記局長は25日の参院代表質問で、暮らし・経済、天下り、沖縄米軍基地、原発、憲法と安保法制=戦争法、「共謀罪」などの焦点課題を取り上げ、安倍政治の抜本的な転換を迫りました。


格差と貧困・働き方改革

残業上限 月45時間に

写真

(写真)代表質問に立つ小池晃書記局長=25日、参院本会議

 小池氏は、安倍首相が「確実に『経済の好循環』が生まれている」と誇っているものの、労働者の給与・賞与は安倍政権発足前と比べ「実質賃金で年収19万円ものマイナス。家計消費も15カ月連続で前年比マイナスだ」と指摘。「大企業に巨額の内部留保が積み上がる一方で、実質賃金が下がり家計消費が落ち込んでいる。これを『経済の好循環』というのか」とただしました。

 小池氏は「こうした社会の立て直しが政治の最大の責任の一つだ」として、日本共産党の四つの改革―(1)能力に応じて負担する税金の集め方への改革(2)貧困と格差是正につながる税金の使い方への改革(3)8時間働けばふつうに暮らせる働き方への改革(4)大企業と中小企業との格差などを是正する産業構造への改革―を提起しました。

 このなかで、安倍政権がこの4年間で年金・医療・介護で給付削減・負担増の路線を進めてきただけでなく、来年度予算案でも保険料負担、患者負担をさらに引き上げようとしていると指摘。「家計を苦しめ、現役世代の不安を増大させ、中間層の生活の安定と消費の喚起にも大きな障害となる」と批判しました。

 その上で、「中間層が安心して消費ができる状況」が必要だというなら「大企業への4兆円もの減税をやめ、社会保障の自然増削減はきっぱり中止し、充実に向かうべきだ」と求めました。

 働き方改革について、安倍首相が法案提出を予定する罰則付きの時間外労働の限度について、過労死ラインの「月80時間」で検討しているとの報道があることに触れ、「上限は何時間か。過労死基準を上限にするなど許されない」とただし、大臣告示の「残業は週15時間、月45時間以内」を法令にすべきだと迫りました。

 安倍首相は「長時間労働の是正に取り組む」と繰り返しながらも、小池氏が「残業代ゼロ」法案の撤回を求めると、「残業代ゼロ」とは「レッテル張り」だなどと言って撤回を拒みました。

表:安倍政権下で削られる社会保障
表:法改悪などによるカット(給付費)

原発

無責任な再稼働批判

 東京電力福島第1原発事故は、いまだ収束のめどすら立っていません。小池氏は「安倍政権は、福島原発事故処理費用として、21兆5000億円にのぼる国民負担を、株主や大銀行の責任を問わないまま電気料金などで押し付けようとしている」と批判。さらに、原子炉の内部状況や溶け落ちた核燃料の所在さえ不明だとして、「費用がさらに膨れ上がる可能性が否定できない」とただしました。

 安倍首相は「(事故処理費用が)上振れすることは想定していない」「国民負担を極力抑えつつ、福島の復興・再生を一日も早く実現する」などと述べ、安易な国民への負担転嫁を正当化しました。小池氏は「いったん大事故が起これば、故郷は奪われ、仕事も奪われ、平穏な暮らしや家庭が壊され、人々の健康と地球環境を危険にさらす、そのうえ膨大なコストが生じるのが原発だ」と批判し、「原発ゼロ」の日本に踏み出すよう主張しました。

 さらに、小池氏は、政府が廃炉を決めた高速増殖炉「もんじゅ」について「1兆円もの資金を投入しながら、初臨界から22年間で稼働したのはわずか250日だ。失敗と認めるか」と追及。政府が「もんじゅ」に代わる新しい高速実証炉の開発に着手するとしていることを、「たとえ幻であっても核燃料サイクルが回るように取り繕っておかないと、『核のゴミ』問題に対策がないことの言い逃れができなくなり、再稼働ができなくなるからではないか」とただしました。

 安倍首相は「もんじゅは、今後の実証炉の開発に貢献する成果をあげた」などと主張。核燃料サイクルについては「必要なプロセスだ」と固執する姿勢を崩しませんでした。

 小池氏は「『使用済み核燃料』の処分方法の見通しが立たないまま再稼働を強行するのは、あまりにも無責任だ」として、原発再稼働を中止し、再生可能エネルギーの本格的導入に大胆に転換する決断をするよう求めました。

共謀罪

政府の論拠に矛盾

 小池氏は、「共謀罪」法案について、「テロ対策」とする政府の論拠の矛盾を突きました。

 小池氏は、日本はすでにテロ防止のための13本の条約を締結し、57の主要重大犯罪で未遂の前段階で処罰できる国内法を整備していると指摘。「テロを防ぐ『国際組織犯罪防止条約』を締結するため」とする政府の言い分に対して、「同条約が採択されたのは同時多発テロ以前の2000年で、その目的はマフィアや暴力団による経済犯罪への対処であり、テロ対策ではない」と強調しました。

 小池氏は「条約締結国のうち、新たに共謀罪を制定した国は何カ国あるか」質問。安倍首相は「新たに国内法を整備したのはノルウェーとブルガリアだ」と、187カ国・地域のうち2カ国にとどまることを認めました。

 条約の効力や実施に関して定めたウィーン条約19条は、条約締結に「留保を付することができる」とし、国連の「立法ガイド」は「締結国の国内法の基本原則と合致した方法で行う」としています。小池氏は、このことを示し、「共謀罪を留保しても、条約締結の壁にはならない」と指摘しました。

 安倍首相は、東京五輪・パラリンピックへの備えを口実に「テロを防ぐためには国際社会と緊密に連携することが必要不可欠であり、本条約の締結は協力関係を構築する上で重要だ」と言い張りました。

 政府の「一般人は対象にならない」との説明については、小池氏が「それを判断するのは捜査機関だ」と強調し、「共謀しているかどうかをつかむために、多数の一般人が盗聴や監視の対象となるのではないか」と告発しました。

改憲・南スーダンPKO

現地の危険 認めぬ首相

 安倍首相が執念を燃やす憲法改定について、小池氏は、世論調査で過半数が「(改憲の)議論を急ぐ必要はない」と答えたことを挙げ、「多くの国民は改憲を求めていない」と指摘しました。

 小池氏が「国民の多くが、改憲が政治の優先課題ではないと考える事実を認めるか」と迫ると、安倍首相は、優先課題でないとは認めず、「『議論を進めるべき』だとの意見が50%という世論調査もある」と強弁しました。

 小池氏は「憲法を変えるのでなく、生かす政治こそ必要だ」と強調。「安倍政権は、戦後日本の『一人も戦争で殺し、殺されない』というあり方を根本から変えようとしている」として、安保法制=戦争法に基づいて「駆け付け警護」などの新任務を付与され、南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派兵された自衛隊への差し迫った危険をただしました。

 「南スーダンが事実上の内戦状態にあることを認めるか」と迫った小池氏に、安倍首相は「『事実上の内戦状態』が何を意味するか明らかでない」と述べ、「(南スーダンの)首都ジュバは比較的落ち着いている」と従来の答弁を繰り返しました。

 国連の公式文書は内戦状態だと繰り返し指摘し、南スーダンPKOの軍司令官代理はジュバの治安状況を「予測不可能で非常に不安定」だと述べています。小池氏は「このような状況で自衛隊が『駆け付け警護』を行えば、自衛隊が南スーダン政府軍に武器を使うことになり、憲法が禁止する武力行使となる」と迫りました。

 首相は、同国政府軍の動向には触れず、「南スーダン政府による国連南スーダン派遣団(UNMISS)と自衛隊に対する受け入れ同意は安定的に維持されている」と答弁。小池氏は「危険を危険と認めない安倍政権こそ最も危険だ」と批判しました。

文科省天下り問題

全容の徹底解明迫る

グラフ:国家公務員の天下り件数の推移

 小池氏は、文部科学省が元高等教育局長の早稲田大への天下り(再就職)をあっせんしていた問題について、全容を徹底解明するよう迫りました。

 小池氏は、「隠蔽(いんぺい)工作や大学側との口裏合わせまで指摘されている」として、文科省が大学運営費交付金や私学助成、さらには科研費(科学研究費助成事業)などの競争的資金などの配分権限を背景に、国立大学の人事を牛耳り、私立大学への組織的な天下りあっせんを行っていた可能性を指摘しました。

 安倍首相は「国民の信頼を揺るがすもので、あってはならない」などと述べるものの、文科省に調査・再発防止策を丸投げする姿勢を示しました。

 人ごとのような答弁を繰り返す安倍首相に、小池氏は、第1次安倍内閣が2007年の法改定で、それまで国家公務員法にあった「離職後2年間の規制期間」や人事院による「承認」を撤廃し、「天下り」「天上がり」を原則自由化して、内閣の下で一元化する仕組みをつくったもとで、今回の事件が起こっていることの重大性を指摘。当時、日本共産党が「新たな政官財癒着に道を開く」と批判した通りの事態になったとして、安倍首相の責任をただしました。

 安倍首相は「現行制度による厳格な監視が機能したからこそ、本事案が明らかになった」と開き直るだけで、まともに答えませんでした。

沖縄新基地

民主国家では許されぬ

 小池氏は、沖縄県名護市辺野古で進む米軍新基地建設などについて、くり返し選挙で示された保守・革新を超えた「オール沖縄」の民意を無視しているとして、「民主主義の国の政府としては許されないことだ」とただしました。

 昨年12月、米海兵隊オスプレイが同市安部の浅瀬に墜落した事故について、「日本と沖縄の植民地的実体を浮き彫りにした」と指摘。米軍が海上保安庁の捜査協力を無視し、機体を回収した行為は「日米地位協定上も許されない無法なものだ」と糾弾しました。

 また、原因が特定されないまま事故後わずか6日で米軍が同機の訓練を再開したことを「理解する」とした日本政府の態度は、「沖縄県民や国民の安全より日米同盟を優先する、主権国家にはあるまじき態度だ」と批判しました。

 安倍首相は「指摘はまったくあたらない」と繰り返し、まともに答えませんでした。

 小池氏は、米国のトランプ新大統領に対して、今までのような「日米同盟第一」という硬直した態度をとれば「国民との矛盾は深まるばかりだ」と指摘。異常な米国追随外交をやめ、対等・平等・友好の日米関係に切り替えることを求めました。


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