2017年1月24日(火)
きょうの潮流
DHCと聞けば、まず思い浮かべるのは化粧品です。しかし、一化粧品メーカーとの認識を根底から改めなければならない事態が起きています▼東京MXテレビ「ニュース女子」。2日の放送で、沖縄・高江の米軍ヘリパッド建設について取り上げました。反対派は「金で雇われている」「韓国人がなぜ参加」。「反対派の暴力があり、危険で近づけない」。リポーターが叫び、スタジオに笑い声が広がるといった具合です▼差別と偏見に満ち、怒りさえこみ上げてきます。何の根拠も示さない、まさに“フェイク(うそ)ニュース”です。番組スポンサーはDHC、その子会社が制作。しかもインターネットやCSチャンネルの「DHCシアター」の番組を横流ししたものです▼気になるのがDHCとMXテレビの密な関係。本紙20日付で報じたように、11年以降最大のスポンサーとしてDHCの広告費は23億円、全体の14・3%(15年)を占めるようになりました▼放送は国民共有の電波を預かっておこなうもの。一部のものが独占し、金にあかして好き勝手な番組を放送できるわけではありません。憲法の精神を生かした放送法が、放送事業者に「公平公正」な放送を求めているのはそのためです。MXテレビは、最大スポンサーの陰で一向に反省の気配を見せません▼面白おかしく、時には過激な言葉を投げ、国民の感情を揺さぶるのがうそ情報といわれる「フェイクニュース」の特徴。CSでの発信から放送へと進出したDHCのねらいは危険です。