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2017年1月20日(金)

日本共産党第27回大会

志位委員長の結語

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 日本共産党第27回大会最終日の18日、志位和夫委員長が行った、大会決議案と中央委員会報告についての討論の結語は、次のとおりです。


写真

(写真)結語を述べる志位和夫委員長=18日、静岡県熱海市

 代議員および評議員のみなさん、おはようございます(「おはようございます」の声)。インターネット中継をご覧の全国のみなさんにも心からのあいさつを送ります。

 私は、中央委員会を代表して、討論の結語をおこないます。

 3日間の討論で、65人が発言しました。全体として、決議案と中央委員会報告、「日本の政治の新しい時代」をいかにしてさらに前へと動かすかという党大会の主題が、豊かに深められ、素晴らしい感動的な討論となりました。(拍手)

 討論での発言を希望された方は、165人におよびます。用意した発言原稿があれば事務局に届けていただきたいと思います。新しい中央委員会の責任で、今後の活動に生かすようにしたいと思います。

全国からの感想――全党討論での疑問に答えた報告が歓迎されている

 大会初日の開会あいさつ、来賓あいさつ、中央委員会報告のインターネットでの視聴は、党内外で約6万人となり、史上最高となりました。(拍手)

 全国から寄せられた感想文は、749通にのぼりました。

 全国からの感想でも、3野党・1会派の代表によるあいさつは、「涙がにじんで感激いっぱい」など、強い感動をもって受け止められています。北海道のある同志から、次のような感想が寄せられました。「今朝の帯広はマイナス20度。その中での日刊紙の配達でした。日ごろ体にはきつい活動の連続なのですが、来賓のあいさつやメッセージを聞きながら、『そうだ、そうだ』と納得し、貴重な連帯のエールをもらえ、なぜか雪どけの時のあの感覚を味わわせてもらいました」(拍手)

 中央委員会報告は、全党討論のなかで出された疑問に答えた内容、情勢の進展にそくした新たな解明が歓迎され、きわめて積極的に受け止められています。「この間の全党討論で出された意見にわかりやすく的確にこたえ、決議案の内容を豊かにするもので圧巻でした」、「今回の大会決議案・報告は、今までで一番国民、私たちに寄り添うものだと感じます」などの感想が寄せられています。

 中央委員会が決議案を提案し、2カ月をかけて全党討論をおこなう。そこで出された意見や疑問に対して、大会の中央委員会報告でさらに深めて解明する、そして、決議案と中央委員会報告をふまえて大会討論をおこなう。ここには、一方通行でない、双方向での認識の発展があります。

 ここには、民主集中制という組織原則の生命力の発揮があり、日本共産党ならではの認識の発展過程の醍醐味(だいごみ)があるということを、まず強調したいと思います。(拍手)

3野党・1会派、ともにたたかう友人から寄せられたあいさつ

 3野党・1会派の代表のあいさつは、私たちにとって、さらに野党と市民の共闘の前途にとって大きな激励となりました。

 民進党の安住淳代表代行は、「違いをことさらに強調するのではなく、大局観に立って一致点を見いだし、度量と決意をもって共通の敵に立ち向かいましょう」と呼びかけました。自由党の小沢一郎代表は、「大転換を促した決断に敬意を表します。緊密に、真剣に、誠実に、誠意をもって心からの共闘を」と訴えました。社会民主党の吉田忠智党首は、「共闘がさらに加速することを確信しています。この大会が日本の政治を変える第一歩になることを期待しています」とのべました。沖縄の風の糸数慶子代表は、「『元祖、野党共闘』は沖縄。『戦争させない国』にするために力をあわせましょう」と呼びかけました。

 どれも心のこもった連帯のメッセージであったと思います(拍手)。激励にしっかりこたえようではありませんか。(拍手)

 民進党の安住代表代行が、今後の野党間の政策協議にかかわって、「わが党と日本共産党との間には考え方に隔たりのある政策があることは事実です。安全保障、エネルギー、社会保障と負担のあり方などです。完全に一致することは難しいかもしれませんが、両党が真摯(しんし)に話し合い、その考えを尊重しあえば、一定の幅のなかにこれらの政策を寄せ合うことは可能だと思います」とのべたことに、私は、注目して聞きました。

 私たちも可能だと思います(拍手)。両党の間には政策的な共通点とともに、もちろん違いもあります。しかし、考え方が違う問題をどのように扱うかについても、真摯に話し合っていけば、国民のみなさんに責任をおう前向きの合意点を見いだしていくことは、私は、可能だと確信するものであります。(拍手)

 古くからの友人とともに、新しい友人のみなさん――「総がかり行動実行委員会」の福山真劫さん、「市民連合」の中野晃一さん、首都圏反原発連合のミサオ・レッドウルフさんから、温かい激励をいただきました。どの方々も、私たちが、3年間のたたかいを通じて、互いに理解しあい、互いにリスペクト(尊敬)し、互いに学びあう。そういうなかで得たかけがえのない友人であります。中野晃一さんは、あいさつの後に、つぎのように感想を語っていました。

 「反応・反響の大きさに本当にびっくりしました。メモをとって聞く姿は大学の講義以上に真剣で、こういう一人ひとりの『人』が共産党を支えているんだなと思いました。ぜひ自分自身もリスペクトしていただきたいと思いました」(拍手)

 私は、私たちに大きな激励を与えてくださった内外の来賓のみなさんに、重ねて感謝を申し上げるものであります。(拍手)

 メディアも大会に注目を寄せました。大会の取材体制は約60人と過去最大になったということです。主要紙、地方紙、テレビがそろって報道しました。

 大会を取材したある大手メディアの幹部は、つぎのように感想を語っています。

 「政党のなかで圧倒的な存在感を示す大会内容だった。大会に参加した野党とはかつて対立もしてきたわけで、それが壇上で手をつなぎ、これに応える会場の熱気は大変なもの。まさに歴史の画期となる場面であり、共産党の存在が安倍首相の最大の脅威となっている。これはきちんと報道しておかなければというのがわれわれの実感だった」

 ぜひ引き続き、きちんと報道していただきたいと思います。(笑い、拍手)

 この大会は、大会そのものが、野党と市民の共闘を前進させることへの一つの貢献となる、文字どおりの歴史的大会として成功をおさめたことが、確認できると思います。(拍手)

野党と市民の共闘の流れが、日本列島のどこでも力強く開始されている

 大会討論での発言は、どれも教訓に富み、素晴らしいものでした。もちろん結語でそのすべてに言及することはできません。近く発行する『前衛』大会特集号で、全員の発言を収録します。ぜひその全体を今後の活動の糧として活用していただきたいと思います。

 討論では、この間の一連の国政選挙での躍進で、新たに国会議員となった同志たちから、新鮮、はつらつ、力強く、頼もしい発言があいつぎました。躍進した力がみなぎった大会になったと思います。

 結語では、参加者のみなさんが、共通して感動をもって受け止めたであろう、いくつかの特徴点についてのべておきたいと思います。

 第一は、野党と市民の共闘の流れが、日本列島のどこでも力強く開始されていることを示す討論となったということであります。

 北海道、岩手、宮城、福島、茨城、埼玉、栃木、新潟、長野、石川、富山、大阪、岡山、山口、愛媛、高知、熊本、鹿児島、沖縄など、全国各地から、野党と市民の共闘の生き生きとした報告がおこなわれました。

 全国からの報告は、この共闘の流れは、決して後戻りすることはない、日本の政治を変える流れへと必ず発展する――そのことを示したのではないでしょうか。(拍手)

 私がここで強調したいのは、大会決議案の示した方向が、日本共産党にとっての指針にとどまらず、野党と市民の共闘に真剣にとりくんでいる多くの方々の気持ちと響きあっているということであります。

 埼玉県・県委員長の代議員は、「ママの会」に決議案をお渡しして懇談したところ、「大事なことが書いてある」「世界の動きがよくわかる」「共産党ってすごい」という反応が返ってきたことを語りました。市民運動に携わっている方から、「私は日本共産党に2度ほど勇気と希望をもらった。1度目は、国民連合政府の呼びかけ。2度目は、今度の大会決議案だ。ここに新しい時代をひらく希望がある」とのべたことが報告されました。大会決議案は「希望」だと党外の市民運動の方が言ってくださっている。これは私たちにとって大きな希望ではないでしょうか。(拍手)

 岩手県・県委員長の代議員は、野党統一候補として勝利した木戸口英司参院議員が、「党大会決議案を読了した」と報告に来たと語りました。1月4日の県委員会主催の新春の集いでは、木戸口さんは「(決議案を)いつもカバンに入れて持ち歩いている」と紹介をし、決議案の引用をして「本気の共闘で、安倍政権を打倒、野党の連合政府を」と呼びかけたとのことでした。

 栃木県・県委員長の代議員は、野党統一候補としてたたかった田野辺隆男さんに、決議案をお渡ししたところ、3日後に電話で、「読みました。世界の動き、日本の社会のことを考えるとき、共産党の主張はごく当たり前のことです。しかもこれだけコンパクトにまとめられたことに感服しました」との感想が返ってきたと語りました。「コンパクト」とよくぞ言ってくれました。(笑い、拍手)

 全党のみなさん。野党と市民の共闘をともにたたかっている友人、日本の政治の前途を真剣に考え、模索している多くの方々と、この大会で決定されるであろう決議をもって、大いに語り合い、ともに手をたずさえ、開始された共闘の流れをさらに大きく発展させようではありませんか。(拍手)

どうやって党建設を本格的な前進に転じ、「党勢倍加」をやりとげるか

 第二は、どうやって党建設を本格的な前進に転じ、「党勢倍加」をやりとげるかについてであります。決議案では、地区委員会の活動の強化に光をあてました。中央委員会報告では、「楽しく元気の出る支部会議」など「支部が主役」の活動の強化に光をあてました。この双方が討論で深められたと思います。

地区委員会――「わが地区をこう変える」という大志・ロマンを支部と共有

 まず地区委員会の活動です。

 福岡県・直鞍地区委員長の代議員は、「大運動」の党員拡大の目標を達成したこと、前大会比で党員現勢が120・8%となったことを報告しました。直鞍地区では、「比例で850万票に見合う1万票を獲得し、小選挙区でも勝利したい、地区内すべての自治体で3議席以上の党議員団をつくりたい」――この政治目標から出発したとのことでした。「地区党の大志とロマン、思いをどのように地区役員や支部に伝えるかを重視しました。地区委員会総会の出席率は常に9割をキープしています。支部のみんなから『この人をぜひ地区委員にしてくれ』と推薦された同志で構成されています。だから自覚や責任感が最初から違います」との発言でした。政治目標を地区委員会と支部の共通のものにして、持続的に党づくりの画期的な前進をかちとった経験が語られました。一言一言が教訓に富んだ発言だったのではないでしょうか。(拍手)

 山形県・最北地区委員長代行の代議員は、「大運動」の目標である21人の党員拡大目標を達成し、すべての支部が読者拡大で成果をあげたことを報告しました。ここでも「何としても党勢を大きくしたい」という決意から出発したことが語られました。「地区の政治目標は、9000票、得票率10%。しかし2016年参議院選挙では5100票、5・5%。政治目標達成には1・8倍化が必要です。他党の議員から要請された演説会や決起集会へ参加しても、党勢が小さく紹介されない。悔しい思いの連続でした。共闘の場でも対等の関係で渡り合える党にしたい。『民主連合政府は最北地区の躍進から』のスローガンを掲げて頑張ってきました」との発言でした。こういう思いで、決議案を地区委員会で繰り返し議論し、決めた目標を必ずやりきろうと奮闘して、こうした結果を出したという報告でありました。(拍手)

 大分県・南部地区委員長の代議員は、「比例で6%にも満たない得票しかとれない地区だったが、これを何としても10%を超える、強力な党をつくりたい」という決意から出発したことを語りました。「大運動」では、「三つのことを達成できた」――「一つは、決議案の全党員への届けを100%実現しました。二つは、党勢拡大で、前回大会時比で党員が102%、日刊紙111%、日曜版105%となりました。三つ目に、全支部が成果をあげました」との発言でした。素晴らしい成果であります。(拍手)

 目標を達成した三つの地区の経験に共通しているのは、「わが地区をこう変える」という大志とロマンをもち、それを支部や党員と共有していることだと思います。

 山形県・最北地区、大分県・南部地区など、現在党勢が小さい地区、困難を抱えていた地区でも、前進を開始していることはたいへんに重要であります。二つの地区とも得票率10%をめざす政治目標を掲げて、党勢拡大を前進させています。すなわち「成長・発展目標」です。「成長・発展目標」――どの都道府県、どの自治体・行政区でも10%以上の得票率を獲得できる党をつくる。この大目標の達成のためにともに力をつくそうではありませんか。(拍手)

支部――「楽しく元気の出る支部会議」の呼びかけが歓迎され、深められた

 次に支部の活動です。たくさんの素晴らしい経験が報告されました。中央委員会報告では、「楽しく元気の出る支部会議」を全党に定着させようと呼びかけましたが、討論で歓迎され深められました。

 北海道・豊平清田南地区の地域支部の代議員は、「大運動」で日刊紙、日曜版ともに目標を達成し、26回党大会以後、党員を倍加したと報告しました。「渡された資料、中央委員会報告のレジュメの中に、『「楽しく元気の出る支部会議」を全党に定着させよう』という一行を発見して、まさしく私たちの党活動の中心はこの点にあったので大喜びしました。中央と支部が共鳴したと感じました」。この発言を聞いて私も共鳴いたしました(笑い、拍手)。「家庭菜園の野菜を持ってきてくれる人、大工の経験をいかして立て看板を担当してくれる人、選挙のアナウンサーなら任せてほしいという人、新婦人の活動や年金者組合の活動をそれぞれ語ってくれる方、そんなつながりの中に地域が見えてきます。そんな支部活動が、私と支部の元気のもととなっています」。支部会議を中心に活動が豊かに発展している様子が生き生きと語られました。(拍手)

 長野県・病院職場支部の代議員は、忙しい職場で支部会議をどう開いているかについて、語りました。「支部会議を週1回開催しています。忙しいので、朝の始業前の7時から8時までに開いています。朝も早いし本当にできるか不安でしたが、早朝で頭がすっきりして、学習や読み合わせも頭に入りやすい。おいしいコーヒー、焼き立てのパンを用意などして、参加したくなる工夫をしています。『朝活』として支部会議を始めました。まずは綱領を読み合わせし、少しずつステップアップ。患者さんや職員への姿勢も親切な対応ができるように話し合っています。学習が力となり、党員拡大がすすむ。2年間で4人の仲間を迎え、3人が20代、1人は30代、支部に活気を与えています。報告の『楽しく元気の出る支部会議』はぴったりです」。こういう発言でありました。(拍手)

 愛知県・学生支部の代議員は、この3年間、継続的に毎週支部会議を開き、日常の学習活動に綱領の連続教室など、仲間と励ましあいながら頑張って、党員18人、民青同盟員74人を迎えてきた経験を報告しました。「毎回の支部の『政策と計画』では、…一つ目、毎月仲間を迎えること。二つ目、月2回は宣伝すること、三つ目、『綱領教室』を学習すること、四つ目、『しんぶん赤旗』を読むこと。五つ目、民青同盟でリーダーシップを発揮することを掲げてきました。毎回これは無理ではないかとの発言もありますが、最終的にはみんなで決めた『政策と計画』ということで、…みんなで乗り越えて運動していくことができています」。毎週支部会議を開くことをはじめ、どれも党建設の基本ですが、若い同志たちがその基本に徹し、やりぬいているのは、素晴らしいことではないでしょうか(拍手)。若い同志の頑張りに全党が大いに学びたいと思います。(拍手)

 「楽しく元気の出る支部会議」の威力は、大会討論でも証明されました。これをひとつ、全国の党支部でやろうじゃないですか(拍手)。これを全党に定着させ、活力の源として、「支部を主役」に強く大きな党をつくろうではありませんか。

「世代的継承」をどう成功させるか――開拓者の精神のとりくみが交流された

 第三に、「世代的継承」をどう成功させるか。これは党にとって最大の課題の一つです。討論では、多くの同志がこの課題に触れて発言し、「世代的継承」という言葉が全党の合言葉になっていることを感じました。

 討論では、このとりくみに真剣に、開拓者の精神でとりくんでいる進んだ経験が、たくさん語られました。

労働者のなかでの党づくり――人間らしい雇用が壊されるもとでどんなに大切か

 まず、6000万労働者階級のなかでの党づくりについてです。

 討論を聞いて痛感したのは、民間経営でも、公務労働でも、人間らしい雇用が根本から壊される事態がすすみ、労働者が身も心も深く傷つき、苦しんでいるということであります。そういうもとで、職場に党をつくり、労働者の苦難に応える活動にとりくむことが、どんなに大切か。このことが討論をつうじて浮き彫りになったと思います。

 関西の自治体労組グループの代議員は、構造改革のもとで激しい人減らしがおこなわれ、7年前には職場で5人の自殺者をだすという痛苦の経験をしたこと、現在も、住民に犠牲を強いる安倍政治のもとで、24時間、365日、住民の暮らしを支える最前線で懸命に働いていること、「住民とすべての職員の命を守り、信頼される党と労働組合をつくろう」「今なら間に合う」――これを合言葉に、世代的継承のとりくみを、労働組合だけにせず、党や民青、学習活動でも位置づけてとりくんできたことを語りました。職場で5人の自殺者、本当に重大で心の痛む事態だったと思います。労働組合は、一昨年は120人、昨年は191人、今年度はこれまでに206人の新たな組合員を迎え、青年党員は3年前のゼロから8人に、民青同盟も2桁の班に成長しているとの報告でありました。

 神奈川県・民間職場の代議員は、電機産業で、この数年異常なリストラが横行し、33万人がリストラされているもとで、リストラとのたたかいのなかで党づくりにとりくんでいる経験を語りました。この代議員の勤める企業は、営業利益は6千億円を超え、史上最高を更新しながら、数万人の人減らしをしており、「常時リストラ」「黒字リストラ」だと呼ばれている。これに対して、労働組合、地域住民や民主団体、日本共産党も加わって、「リストラかながわ対策会議」を立ち上げ、不当な賃下げ、転籍とたたかい、転籍の強要をはねかえす成果を勝ち取るとともに、相談にきた労働者を党に迎えているとの報告でした。リストラとのたたかいのなかで党をつくっている。

 東日本の職場支部の代議員は、市営バスの運転士をつとめていますが、8割が嘱託職員。給与は半分以下、有休もとれず、一時金もない。一方的な雇い止めが横行する。同じ仕事をしているのにおかしいと、嘱託職員の労働組合をつくって、不当な労働条件をただせと立ち上がった経験を語りました。困難、攻撃もありましたが、日本共産党市議団が、議会で不当労働行為をするなととりあげる。さらにわが党国会議員団が、全国の嘱託労働者の労働条件の抜本的改善を提起する。安倍首相に前向きの答弁をさせました。そうしたなかで当局に一方的処分や雇い止めをしないと約束させました。こうしたたたかいのなかで日本共産党に入党し、党勢拡大にとりくんでいるとの発言でした。入党して間もない同志が、この過程をたいへんリアルに、気持ちを込めて、たいへんドラマチックに語りました。私も目頭がちょっと熱くなりました。前から見ていてもだいぶ、そういう同志が多かったように思います。(拍手)

 いま6000万労働者階級のなかに党をつくることは、人間らしい雇用が壊され、切実に現状の打開を求めている労働者の願いにこたえるうえで、労働者に対する私たち日本共産党の責任だと胸に刻んで、力を尽くそうではありませんか。(拍手)

若い世代のなかでの党づくり――綱領が若い世代の心に響いている

 若い世代のなかでの党づくりについて、全党がここに目をむけ、新しいとりくみを開始している経験が、たくさん語られました。

 東京都・南多摩地区委員長の代議員は、前大会後の3年間で青年党員を12人、民青同盟員を36人増やしてきた経験を語りました。その教訓として、「第一に、地区委員長を先頭に、地区委員会あげてとりくむ、第二に、選挙で中断するのでなく、選挙のなかでこそ若い世代のなかでの宣伝・対話・拡大にとりくむ、第三に、決議案が提起している『三つの柱のとりくみ』を、それぞれ独自に追求することで、相乗効果が起こった」ことを語りました。「まず学生のなかに党をつくろうと、大学前の駅頭宣伝にとりくんできました。対話がはずんで2時間話して民青に加盟してもらいました」。「『どの支部にでもできる世代的継承』では、支部が『集い』にとりくみ、それにむけて若者の対象者をあげることから始まり、このとりくみが民青への加盟に実りました」。「民青への援助では学習が最大の援助ですが、仲間づくりをともにすすめ、拡大の『成功体験』を積んでもらうことを重視しています」。「カギは選挙です。社会を変えたいと願う青年が日本共産党と出会うチャンス。選挙をたたかうなかで青年党員と民青同盟員が成長する。選挙のなかでこそ若い世代のなかでの党づくりをすすめたい」と決意を語りました。この地区のとりくみには、学ぶべきたくさんの教訓があると思います。ぜひ、全国でこうしたとりくみをやっていきたい。何よりも地区委員長を先頭に地区委員会をあげてとりくんでいる、これが最大の教訓だと受け止めました。

 党綱領が若い世代の心をとらえ、その社会変革への模索と探求に深く響きあっていることが語られました。

 東京の私立大学の18歳の代議員――大会最年少の代議員です(拍手)――この同志の発言は、教訓に富むものでした。「綱領が党建設の力になっている」ことが語られました。改憲阻止のたたかいで出会った3年生は、「社会に対して、もやっとした思いがあり、もっと知りたいと民青に加盟してくれました。加盟後の綱領学習で、二つの政治悪をつかんだら、今まで、もやっとしていたものがはっきりし、『大型公共事業の財源を少しでも福祉に回してほしい』など、要求を我慢しなくてもいいと気づいた」と入党した。憲法9条を英語訳でも暗記しているという1年生は、「民青で綱領を学習し、政治や社会問題を深く知ることで、より活動したいという思いが強くなった」と入党したとのことでした。

 代議員本人の入党の動機も語りました。「中学生のころから、将来中小企業支援をやりたいと思っていました。しかし、この問題の根本に大企業中心主義があるとは気づいていませんでした。大学に入り、民青に出会い、綱領を学ぶことで、政治を変えなければならないと気づきました。そのうえ綱領には問題を解決する展望が書かれています。これならできそう、自分も携わりたいと思うようになって入党を決意しました」。こう語って、発言をこう結びました。「新しい時代に、綱領が正しく広まれば、大きな変革を起こすことができると、まわりの学生や新しく仲間になった人たちを見て確信しています」。「綱領が正しく広まれば、大きな変革ができる」。18歳です(拍手)。18歳の若い同志がこういう確信を持って踏み出していることは、うれしく頼もしいことではありませんか。(拍手)

 綱領が、若い世代の模索に応え、心に響き、展望と確信をあたえ、入党を促(うなが)す大きな力を発揮しています。「綱領の力」は、何よりも、若い世代で発揮されています。全党のみなさん。ここに確信をもって若い世代と心を開いて語り合い、大胆に党に迎えようではありませんか。(拍手)

総選挙の躍進、都議選勝利に向けて、ただちに足を踏み出そう

 第四に、総選挙での躍進、都議選の勝利にむけて、ただちに足を踏み出す。多くの同志からその決意が語られました。

 討論では、総選挙での躍進にむけて、比例代表予定候補、小選挙区予定候補者から、必勝の決意が語られました。党の風を大いに吹かせ、党建設でも先頭に立つ、元気はつらつの発言が続きました。

総選挙躍進へ――「二つの一体的追求」の重要性が深められた

 中央委員会報告では、「野党共闘の勝利と日本共産党躍進の一体的追求」、「『比例を軸』にした党躍進と小選挙区必勝区での勝利の一体的追求」という「二つの一体的追求」を揺るがずにつらぬくことを呼びかけました。そのことの重要性が、討論でも深められました。

 野党と市民の共闘で大きな成果をあげた県委員会から、今後に生かしたいとして、率直な反省も語られたことは、大切だったと思います。

 宮城県の県委員長の代議員は、野党共闘の前進への確信とともに、「参院選では、野党共闘に私も燃えに燃えて頑張り、ちょっと燃えすぎて、比例で前進を貫くという独自の努力が率直に言って不十分だったと反省をしています。東北ブロックは比例で2議席をかちとることが必勝の目標です。…東北のみなさんと心ひとつに勝ち抜きたい」と語りました。

 新潟県の書記長の代議員は、「野党共闘で成果をあげたとはいえ、参院選比例代表では、2014年総選挙より得票を減らしました。野党共闘と日本共産党の躍進という二つの大目標を一体的に追求することは並大抵のことではありません」「参院選の期間中、県内各地をオルグで走り回りました。そこで痛感したことは、地区委員会でも市町村委員会でも、野党共闘に手を取られて、支部への指導、援助が極めて手薄になっていることでした」「党の力不足と党建設、党員拡大の重要性を痛感しました」と発言しました。

 これらは、総選挙にむけて教訓にしていきたい問題です。「二つの一体的追求」を揺るがずつらぬいて、総選挙での勝利・躍進をかちとりたいと思います。

 いま総選挙勝利にむけて、なすべきことは何か。もちろん中央段階では、野党共闘の体制をつくるべく、全力をあげます。全国のみなさんはぜひ、日本共産党の躍進への政治的勢いをつくりだす活動にとりくんでいただきたい。これをつくりだすことが、野党と市民の共闘を本格的な共闘にしていくうえでも、きわめて重要であるということを訴えたいのであります。

 比例代表予定候補者、小選挙区予定候補者を先頭に、比例代表で党躍進の流れをつくる政治的・組織的活動をただちに開始しましょう。すべての小選挙区予定候補者は、野党共闘の協議の「様子見」にならないで、遠慮は決してしないで、自分が「野党統一候補」になる構えで、元気いっぱい活動に踏み出すことを呼びかけます。(拍手)

 全党のみなさん、来たるべき総選挙で、野党と市民の共闘を必ず成功させるとともに、日本共産党の躍進を必ずかちとろうではありませんか。(拍手)

東京都議会議員選挙――全国の党組織が「わがこと」として勝利に力をつくそう

 6月の東京都議会議員選挙は、かつてない全国注視の政治戦となります。東京都委員長の代議員から勝利への断固たる決意が表明されました。宮城県の県委員長の代議員は、この選挙を「わがこと」として全力で頑張る決意をのべました。

 わが党はいま“第3の躍進”の流れをつくりだしていますが、すべては2013年都議選から始まりました(「そうだ」の声、拍手)。あの都議選での日本共産党の躍進は、情勢を一変させ、次の日に街頭に立ってみますと、情勢がガラッと変わっている。直後の参院選の躍進、その後の一連の党の躍進の突破口を開いたのが、2013年の都議選です。今回の都議選はそれにもまして全国的な意義をもつたたかいになります。全国の党組織が応援ということではなくて、「わがこと」として都議選の勝利に力をつくすことを心から訴えるものであります。(拍手)

在日大使館からの来賓の感想――野党共闘への注目、包括的な見解に高い評価が

 大使館からの来賓の感想について報告しておきたいと思います。

 この大会には、在日の大使館の方々に傍聴をご案内しましたが、12の国の大使館からご出席がありました。私たちは、初日に、お礼をかねて懇談する機会がありましたが、その席で、こうした機会をつくったことへの歓迎が語られました。

 懇談で出された感想を若干紹介します。

 ある方は、「これだけの量の決議を2カ月の全国討議で、練り上げたのはすごいことだと思う。中央委員会報告では、外交政策、国内政策、それぞれとても興味深い分析をしていた。今後もよく勉強したい」。「それにしても何と規律正しく秩序ある大会なのだろう。こうした文化はヨーロッパにはない(笑い)。もしかしたら日本でも日本共産党独自のものかもしれないが」と感想をのべました。

 ある方は、「熱気が素晴らしい。他の野党が党大会にきて、手をつないで団結を誓いあうのを見て、歴史的だと思った。新たな時代が到来していることを象徴している、非常に重要な場面だった。それを目撃できてうれしい」とのべました。

 ある方は、「建物が素晴らしい(笑い)。景色もきれいだし、こんなところで党の大会をやるなんておしゃれだ」(笑い)。「全国から熱海に1000人も集まる大会を開催するのはすごいことだ。宿はどのようにしているのか」(笑い)とのべました。

 ある方は、「国際情勢と地域の動向について詳しく分析されており、その視野の広さが印象的だった」と感想を語りました。(拍手)

 アフガニスタン大使館の外交官は、「この大会で初めて日本共産党がソ連軍のアフガニスタン侵略に反対し、ソ連共産党と激しい論争をし、論破したことを知った。日本共産党がそうした行動をとったことに心から感謝する」とのべました。(拍手)

 それぞれの国の政府と日本共産党は、共通点もあれば、相違点もあると思いますが、日本共産党が、内外の諸問題について、綱領を指針に、まとまった包括的な見解をもっていることに高い評価をいただいたことは、たいへんにうれしいことではないでしょうか。(拍手)

 今後とも、こういう機会を大いに発展させていきたいと思います。

全党討論をふまえて修正・補強した決議案の提案

 つぎに、全党討論、中央委員会報告、大会での討論を踏まえて修正・補強した決議案を提案します。

 決議案の修正・補強箇所は、文書で配布しています。傍線の部分が修正・補強する箇所であります。全党討論では、1500件以上の意見・提案が寄せられました。それらの多くは決議案の内容を歓迎し、よりよいものに練り上げる立場のものでした。それらの一つひとつを吟味したうえで提案いたします。

 可能な限り、修正・補強提案に反映させる立場で作業をおこないました。ただ、いくつかの政策課題を盛り込む要望もありましたが、すでに発表している政策上の見解や活動上の方針を決議にすべて盛り込むのは難しいということを、ご了解いただきたいと思います。

 主な修正・補強箇所はつぎのとおりです。

 ――第2章・第5項。決議案の発表後、昨年12月の国連総会で、核兵器禁止条約の締結交渉を開始する決議が採択されましたので、それをふまえた記述にあらためました。

 ――第2章・第7項。トランプ次期米大統領については、中央委員会報告でのべたように、政権運営はこれからですが、すでに当選後の発言や閣僚人事を見ても危惧される点が多々ありますので、強い警戒をもって注視していくという立場を補いました。

 ――第2章・第11項。ヨーロッパでは、グローバル資本主義の暴走と深刻な経済危機のもとで、右翼排外主義の潮流の台頭という事態も起こっており、社会進歩か逆流かの重大な岐路に立っています。一文を補強しました。

 ――第3章・第13項。安倍政権の強権政治に関して、教育現場への権力的介入については、具体的な記述を求める意見をふまえて補強し、新たに一つの柱を立てました。また、中央委員会報告でのべたように、昨年の臨時国会でのTPP協定・関連法、年金カット法、カジノ解禁推進法の強行採決に象徴される、三権分立や議会制民主主義破壊の「モラルハザード」(倫理喪失)政権の姿があらわになった問題について、新しく柱を立てました。

 ――第3章・第14項。安保法制=戦争法の危険については、新ACSA(日米物品役務相互提供協定)締結や「武器等防護」運用方針の決定など、集団的自衛権行使の現実的な危険性が生まれていますので、一文を補いました。

 ――第3章・第15項。全党討論で出された意見をふまえて、税金の使い方の改革で、教育予算を抜本的に拡充し、教育条件の整備や、大学・研究機関の基礎研究を重視する趣旨を補いました。働き方の改革では、「解雇の金銭解決制度」に反対し、無法なリストラをやめさせる点を補強しました。産業構造の改革では、リニア新幹線にカネをつぎ込もうとする一方で、地方の公共交通網が切り捨てられている問題への批判と、それへの対案を記述しました。災害復興の問題では、中小商工業者・農林漁業者の生業(なりわい)の再建について補強しました。

 ――同じく第3章・第15項で、TPP協定・関連法について、トランプ次期米大統領が「離脱」を宣言しているにもかかわらず、安倍政権が昨年12月の臨時国会で強行採決した現時点にたって、中央委員会報告の内容をふまえて見出しをあらため、本文を差し替えました。

 ――第3章・第16項。原発問題では、福島原発事故の処理費用について、政府がこれまでの倍の21・5兆円にのぼるといいだし、その負担を国民に押しつけようとしていることについて補強しました。

 さらに、福島原発事故の被災者支援の基本的姿勢として、「原発事故の被災者支援にあたっては、被災者を分断するいっさいの線引きや排除、切り捨てを行わず、すべての被災者が生活と生業を再建できるまで、国と東京電力が責任をもって等しく支援することを強く要求する」と明記しました。

 ――第3章・第17項。昨年12月の沖縄県名護市での米海兵隊オスプレイの墜落事故が不安と怒りを引き起こしており、自衛隊のオスプレイ導入への批判も広がっており、その点について補強しました。

 ――第3章・第18項。憲法問題の「現行日本国憲法こそ対案」という解明について、全党討論で、障害者についての記述を求める意見をふまえ、憲法第25条のところに一文を補いました。また、憲法第28条の労働三権や、憲法第31条〜40条の人身の自由と適正な刑事手続きも重要だという意見が寄せられたので、その点を補強しました。

 ――第3章・第21項。昨年「総がかり行動実行委員会」の呼びかけにこたえてとりくんだ、戦争法廃止を求める「2000万統一署名」の意義について、一文を補いました。

 ――第5章・第26項。決議案は「大運動」の呼びかけとなっていますが、これを全面的に書きあらため、現時点での「大運動」の到達点、および前党大会以降の党勢拡大の到達点をまとめました。

 ――第5章・第27項。党建設の三つの歴史的意義についての解明は、全党討論でもきわめて積極的に受け止められたところですが、そのうしろに、中央委員会報告でのべた「日本の政治の新しい時代」を前にすすめる力量をもった党をつくろうという提起の内容を、簡潔にまとめて盛り込みました。

 以上が主な修正・補強点であります。そのほかにも字句上の修正は多数あります。一言一句詳細な検討をくわえて修正・補強の作業をおこないました。

 この大会の最大の任務は、新しい情勢のもとで、日本共産党が内外の諸問題にとりくむ大会決議案を練り上げ、決定することにあります。その案は、ここに全党の英知を結集して立派に仕上げられたと確信するものであります。(拍手)

歴史的党大会を力に、「日本の政治の新しい時代」をさらに前に動かそう

 全党の同志のみなさん。

 開会あいさつでのべたように、この党大会の主題は、開始された「日本の政治の新しい時代」をいかにして前に動かすかにありました。

 決議案、全党討論、中央委員会報告、そして大会での討論を通じて、この主題に対するたしかな答えが明らかになったのではないでしょうか。(拍手)

 全党の同志のみなさん。

 この歴史的党大会を力に――各分野の国民運動、市民運動を発展させ、安倍政権を包囲していこうではありませんか。(拍手)

 野党と市民の共闘が、多くの国民にとっての希望となるよう、さらにこの流れを発展させようではありませんか。(拍手)

 総選挙、東京都議会議員選挙の勝利のために、全党が心を一つに大奮闘しようではありませんか。(拍手)

 「日本の政治の新しい時代」を前に動かす力量をもった、強く大きな党をつくりあげようではありませんか。(拍手)

 そして、安倍政権を倒し、自民党政治を根本から転換する野党連合政権をつくろうではありませんか。(拍手)

 以上をもって、中央委員会を代表しての討論の結語といたします。(長く続く大きな拍手)


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