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2017年1月20日(金)

主張

米軍属の補足協定

犯罪の防止には到底ならない

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 在日米軍基地などで働き、日米地位協定の特権によって守られている米軍属の範囲を「明確化」する補足協定を日米両政府が締結しました。昨年4月、軍属とされた元米海兵隊員が沖縄県うるま市の20歳の女性を暴行・殺害した事件を受けての措置です。日本政府は「軍属に対する管理が一層強化される」などと、犯罪防止になるかのように宣伝しますが、軍属の数がどれだけ減るのかも不明です。沖縄県から「今回の軍属の範囲の見直しが事件・事故の減少に直接つながるものか明らかではない」(翁長雄志知事)という批判が上がっているのは当然です。

結局は米側の裁量次第か

 日米安保条約に基づき在日米軍に特権的な地位を保障している日米地位協定(以下、地位協定)は、軍属について米国籍の文民で、在日米軍に雇用、勤務、随伴する者と定義しています(第1条)。

 補足協定は、地位協定の実施に関する日米両政府の協議機関である日米合同委員会が作成する種別に従い、米政府が軍属を認定すると規定しました。補足協定の締結・発効(16日)と同時に発表された日米合同委員会合意は、軍属として認定される種別として▽米政府予算で雇用される文民▽米軍が契約する企業の被雇用者▽合同委員会によって特に認められる者―など8項目を列挙しました。

 補足協定はまた、米軍が契約する企業の被雇用者については適格性基準を作成すると規定し、日米合同委員会合意では「米軍の任務にとって不可欠」「高度な技能または知識」などを挙げました。

 日本政府は「軍属の範囲が明確化」するとしていますが、最終的に認定するのは米政府であり、今までと同じように米側の裁量次第になりかねません。

 しかも、最大の問題は、圧倒的多数の米兵をはじめ、補足協定に基づいて認定される軍属には引き続き、地位協定上の特権が保証されることです。米兵や軍属の犯罪の背景にある特権意識や占領者意識を生み出す大きな要因になっている地位協定の本体そのものには何も手を付けていません。これでは、犯罪の再発防止になり得ないことは明らかです。

 地位協定は、米兵や軍属が日本国内で犯罪を起こしても「公務中」であれば、米側に第1次裁判権があると規定しています(17条)。

 米兵や軍属の「公務外」の犯罪は、日本側に第1次裁判権があるとされていますが、基地の外で犯罪を起こした容疑者が基地の中に逃げ込むなどして米側が先に身柄を確保すれば、日本側が起訴するまでは身柄は引き渡されません(同条)。1995年の沖縄での米兵による少女暴行事件を受け、殺人と女性暴行に限り、日本側が起訴前の身柄引き渡しを要請すれば、米側は「好意的考慮を払う」という「運用改善」がされたものの、あくまで米側の判断任せです。

地位協定の抜本的改定を

 昨年の女性暴行殺害事件に抗議する沖縄県民大会は「在沖米海兵隊の撤退」などとともに「地位協定の抜本的改定」を決議しています。今回の補足協定締結を受けて翁長知事が述べたように、「米軍基地をめぐる諸問題の解決を図るためには、米側に裁量を委ねる形となる運用改善だけでは不十分であり、同協定を抜本的に見直す必要がある」のは明らかです。


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