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2017年1月17日(火)

主張

ホーム転落事故

命守るための対策を最優先に

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 視覚障害者が駅のホームから転落して亡くなる事故がまた起きてしまいました。埼玉・JR京浜東北線蕨(わらび)駅で、盲導犬を連れた男性がホームから足を踏み外し線路上に落ち、電車にひかれました。視覚障害者のホーム事故は、昨年8月の東京・地下鉄銀座線の駅や、同10月の大阪・近鉄大阪線の駅で相次いで発生、再発防止を求める切実な声が広がるなど問題になっていました。にもかかわらず、痛ましい事故がなぜ繰り返されるのか。障害者をはじめ利用者の安全を最優先にした抜本的な対策を講ずることは、緊急課題です。

駅員がホームに不在で

 蕨駅の事故は土曜日(14日)朝に起きました。点字ブロックはありましたが、ホームドアは未設置でした。平日はホームに配置される駅員も、この日は休日ダイヤだったため不在だったといいます。

 事故にあった男性は普段から蕨駅を利用していました。日常的に使っている駅であっても、目の不自由な人にとっては、駅のホームは、つねに危険と隣り合わせにある実態を浮き彫りにしています。同駅を普段使っている他の視覚障害者からは、数年前にやはりホームから転落した経験が語られ、いまも「怖いと思うことは多い」という声が上がっています。

 日本盲人会連合の全国的な調査(2011年)では、約4割の視覚障害者がホームからの転落を経験し、約6割が転落しそうになったと回答しているように、「欄干のない橋」と例えられるホームの安全対策は待ったなしです。

 有効な対策は、ホームドア設置ですが、全国に約9500ある駅で、ホームドアが設置されたのは約660にすぎません。国土交通省は1日10万人以上が利用する駅では20年度末を目標にホームドアの設置をすすめていますが、完了したのは3割程度にとどまっています。今回事故のあった蕨駅もホームドアの設置は20年度末までかかる予定となっています。設置の促進はきわめて痛切な問題であることは明らかです。ホームドア設置がなかなかすすまないのは、多額の予算が必要となるためといわれています。国は事業者まかせにするのでなく、ホームドア設置を加速させるための手だてや支援を抜本的に強めることが、急がれます。

 国交省の検討会は昨年末、駅ホームの「安全性向上」に向け、ホームドアやホームの危険を知らせる「内方線付き点状ブロック」の整備を急ぐことなどを強調するとともに、駅員らによる対応の強化も提言しています。その提言では、ホームドア未整備の駅で、視覚障害者本人が誘導案内を希望しない場合であっても、可能な限り乗車まで見守ることを求めています。蕨駅のケースで、このような体制がなぜとれなかったのか。人員・体制のあり方を含め徹底的な検証を行うとともに、再発防止のため、すべての駅での総点検と必要な対策を講じることが不可欠です。

悲劇をもう繰り返すな

 蕨駅を含むJR東日本は昨年11月から今月20日までを「声かけ・サポート」強化キャンペーン期間として、視覚障害者らを手助けする運動を呼びかけていました。その最中に障害者の死亡事故が起きたことは重大です。悲劇をこれ以上繰り返さないために、国や事業者は事態を深刻に受け止め、責任を果たすことが求められます。


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