2017年1月14日(土)
主張
米F35B岩国配備
海外”殴り込み”の基地増強だ
米海兵隊岩国基地(山口県)に最新鋭のF35B戦闘機部隊が配備されようとしています。米海兵隊がF35Bを海外に配備するのは初めてです。岩国基地には、8月にも、F35Bの別の部隊が配備される予定です。今年後半からは、米海軍厚木基地(神奈川県)所属の空母艦載機部隊の移駐も開始されることが明らかにされており、岩国基地は所属機が130機規模という東アジア最大の航空基地になろうとしています。米海兵隊と米空母打撃群の海外出撃=“殴り込み”の一大拠点として大幅な機能強化と基地負担の拡大を進める重大な動きです。
「日米同盟」絶対の政府
F35Bは、敵のレーダーから捕捉されにくいステルス(隠密)性に優れ、垂直離着陸が可能な最新鋭戦闘機です。今回、岩国基地に配備されるF35B戦闘機部隊(10機)は、同基地所属のFA18戦闘攻撃機部隊との交代として既に米本土の基地を出発しています。8月には、別のF35Bの部隊(6機)が、AV8B垂直離着陸攻撃機部隊と交代で配備される予定です。
F35Bは昨年10月、米国内を飛行中に、兵器を格納する場所(兵器倉)から出火するという重大事故を起こしました。日本政府は事故原因の最終的な調査が終わらないうちに、「機体に構造上の問題はない」とする米側の説明をうのみにして、岩国基地配備を予定通り受け入れました。
昨年12月、沖縄で米海兵隊のオスプレイ(MV22垂直離着陸輸送機)が墜落した事故で原因の特定もできていないのに、全面的な飛行再開を認めたのと同じ「日米同盟」絶対、米国追随の姿勢です。
岩国基地では、今年後半から米海軍横須賀基地(神奈川県)を母港にする原子力空母ロナルド・レーガンの艦載機部隊が、厚木基地からの移駐を段階的に始めることが発表されています。さらに、艦載機部隊の一部として最新鋭のE2D早期警戒機部隊が加わり、岩国基地で2月初旬から2、3カ月間、訓練を実施することも明らかにされています。異常極まる基地の強化です。
看過できないのは、F35Bの岩国配備に伴い、沖縄などで基地機能の強化も進んでいることです。
岩国基地に配備されるF35B部隊の一部は、オスプレイや海兵隊歩兵部隊などとともに、米海軍佐世保基地(長崎県)を母港にする強襲揚陸艦(LHD)に搭載され、海外に展開することになります。このため、佐世保基地に現在配備されている強襲揚陸艦ボノム・リシャールは今秋から、F35Bの運用が可能な強襲揚陸艦ワスプに交代する予定です。
沖縄でも深刻な負担増
沖縄では、米空軍嘉手納基地でF35B用の格納庫や駐機場の整備計画が以前から明らかになっています。岩国基地からF35B部隊が一部、恒常的に展開するためとみられています。米海兵隊伊江島補助飛行場では、F35Bの離着陸訓練のため、強襲揚陸艦の甲板を模した着陸帯(LHDデッキ)の大規模な拡張工事が始まっています。米海兵隊キャンプ・ハンセンなど「中部訓練場」上空の訓練空域の拡大も計画されています。沖縄の基地負担の増大は明らかです。
全国が連帯し、各地で進む基地強化のたくらみを許さないたたかいを発展させることが大切です。