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2017年1月9日(月)

2017外交展望

「安倍外交」破綻鮮明に

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 「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を標ぼうしてきた安倍政権。昨年は「安倍外交」が無残な破綻を遂げました。今年もゆきづまりの度合いが強まる一方です。

 (竹下岳)


日米関係

見通し不透明、重い要求も

 安倍政権が年初に直面する外交課題は、20日に発足するトランプ米新政権との関係構築です。トランプ氏は大統領選挙中、在日米軍駐留経費の「100%負担」や核武装を求めるなど、対日関係で過激な発言を繰り返してきました。

 安倍晋三首相は昨年11月、トランプ氏とニューヨークで会談し、「まさに信頼できる指導者だと確信した」と語りました。ところがその直後、トランプ氏は環太平洋連携協定(TPP)離脱を表明。TPP推進で暴走してきた安倍政権ははしごを外された形になりました。

 日本政府は次期政権とのパイプづくりに苦労しており、「これまでのどの政権とも違う難しさがある」(外務省幹部)という状況です。

 首相は1月下旬に訪米し、トランプ新大統領と会談する予定です。必要以上に米国にこびる姿勢を続けていれば、米軍駐留経費の増額や自衛隊の海外派兵の拡大、いっそうの市場開放など、従来の政権以上に重い要求を突き付けられる可能性があります。

日ロ

領土問題・打開の展望なし

 「安倍外交」最大の失敗は、領土問題を棚上げにした日ロ首脳会談(12月15、16日)でした。

 安倍首相は昨年5月のロシア・ソチでのプーチン大統領との首脳会談で「新しいアプローチで交渉を進める」と表明。「今までの停滞を打破する、突破口を開く手応えを得ることができた」などと豪語していました。

 ところが、プーチン大統領は訪日前から「ロシアに領土問題は存在しない」と公言。結局、日本での日ロ首脳会談で領土問題が正面から議題になることはなく、「北方四島」での「特別な制度の下での共同経済活動」に関する協議を開始することで合意しました。しかし、経済協力を領土問題解決につなげるというのは、歴代政府が何度も繰り返した破綻済みの手法です。

 首相は今年前半にロシアを訪問する意向ですが、このままでは領土問題での進展は望めません。

核兵器ない世界

世界の流れに逆行

 昨年10月の国連総会第1委員会、12月の国連総会で、核兵器禁止条約の締結交渉を今年3月と6〜7月に行うという画期的な決議が圧倒的多数で採択されましたが、日本政府はこれに反対しました。

 政府は交渉会議に参加する意向ですが、禁止条約には反対という立場は崩しません。「核兵器のない世界」への流れがかつてなく高まる中、日本政府が世界に恥ずべき姿勢をさらすことになります。

近隣外交

日中韓首脳会談見通せず

 韓国国会では朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾訴追が決定され、大統領選が3月末にも前倒しされます。一方、年末には稲田朋美防衛相が靖国神社を参拝。韓国・釜山の日本総領事館前に「慰安婦」を象徴する少女像が新たに設置されたことを受け、政府は6日、「遺憾」(菅義偉官房長官)の意を表明。長嶺安政駐韓大使を一時帰国させるなどの対抗措置を取りました。

 歴史問題で日韓関係が不透明な状況に陥り、2月実施を目指す日中韓首脳会談も見通しが立っていません。

 対中国では、首相は日中国交正常化45周年の今年、訪中実現を目指しています。

 しかし、尖閣諸島周辺の日本領海への中国公船の度重なる侵入や、東シナ海の日中中間線付近での一方的なガス田開発、中国軍の海洋進出拡大など、課題は山積しています。

主な外交日程

 1月中旬  首相がオーストラリア、インドネシア、フィリピン、ベトナム訪問

   下旬? 首相がトランプ次期米大統領と会談(ワシントン)

 2月前半? 日米韓首脳会談(国内)

 3月27〜31日 核兵器禁止条約交渉会議(第1回、ニューヨーク)

 5月26〜27日 主要国首脳会議(イタリア・タオルミーナ)

 6月15〜7月7日 核兵器禁止条約交渉会議(第2回、ニューヨーク)

 7月7〜8日 20カ国・地域(G20)首脳会議(ドイツ・ハンブルク)

 9月6〜7日 東方経済フォーラム(ロシア・ウラジオストク)

   下旬   国連総会一般討論演説(ニューヨーク)

 11月上旬  アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(ベトナム・ダナン)

【時期未定】

 日ロ首脳会談(ロシア)

 東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議(フィリピン)

 日・欧州連合(EU)定期首脳協議(ベルギー・ブリュッセル)


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