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2017年1月9日(月)

日本共産党は安倍暴走政治とどう対決するか

NHK日曜討論 志位委員長の発言

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 8日放送のNHK「日曜討論」各党党首インタビューでの日本共産党の志位和夫委員長の発言は次の通りです。


安倍政権とどう対峙するか

野党と市民の共闘を発展させ、安倍政権を退陣に追い込み、野党連合政権への第一歩を

 島田敏男解説委員 志位さん、世論調査の政党支持率などを見ますと、「自民党1強」という状況が依然続いています。こういうなかで、共産党は安倍政権とどう対峙(たいじ)していくんですか。

 志位委員長 昨年は、野党と市民の共闘が本格的に始まり、第一歩の大きな成果をあげた年になったと思うんです。やはり共闘で相手を倒していく(ことが大切です)。(昨年)7月の参議院選挙では全国32の1人区のすべてで野党統一候補を実現し、11の選挙区で自民党に打ち勝ちました。それから10月の新潟県知事選挙では、統一候補の米山隆一さんが自公推薦の候補に圧勝した。ですから、野党と市民が「大義の旗」を掲げて、「本気の共闘」をやれば自民党に打ち勝てる。この「勝利の方程式」が明らかになったのが非常に大きいと思うんですね。

 今年は、ぜひこの流れをもっと大きく発展させたい。解散・総選挙になりましたら、野党共闘の勝利、日本共産党の躍進をかちとり、安倍政権を退陣に追い込み、野党連合政権に向けた第一歩を踏み出す結果を得たいと考えております。

「アベノミクス」に代わる経済政策は

「1%の富裕層・大企業のための政治から、99%の国民のための政治」に切り替えを

 島田 重要なテーマについて聞いていきます。まず経済政策です。安倍政権の経済政策「アベノミクス」について、共産党は失敗だと厳しく批判しています。それに代わる経済政策として何が必要とお考えでしょうか。

 志位 「アベノミクス」、これは結局、「世界で一番企業が活躍しやすい国」をつくるんだというかけ声のもとで、まず大企業を応援すれば、いずれは家計に回ってくるということでやってきたわけですが、4年間たったが、そうなっていないわけですよ。

 働く人の実質賃金は、この4年間でマイナス5・1%、年収にして19万円も減りました。日本経済の6割を占める家計消費は、(前年比で)15カ月連続マイナスです。「アベノミクス不況」に陥っている。

 ここは政策の転換が必要です。「1%の富裕層や大企業のための政治ではなくて、99%の国民のための政治」に切り替える必要がある。私たちは、格差と貧困をただし、中間層を豊かにする、経済民主主義の改革ということを具体的に提案しておりますが、ぜひその方向に進む必要があると考えています。

どうする「働き方改革」

「8時間働けばふつうに暮らせる社会」―残業時間の法的規制、非正規から正社員への流れをつくり、最賃1500円へ引き上げを

 島田 共産党は長年にわたってですね、労働者の雇用状況の改善と、このテーマに取り組んできた。それで、最近、安倍政権が長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現、こういったことも掲げるようになってきた。この労働者のプラスになること、これを実現していくためには、政府・与党と協力することもありうるというお立場でしょうか。

 志位 やはり、いまの働く人の状況というのは非常に深刻ですから、政府もそれに目をつむることはできなくなっている、そういう状況だと思うんです。

 ただ、私は、安倍首相は、言っていることとやっていることが違うと思うんですよ。

 「非正規という言葉をなくす」ということをおっしゃいますが、実際にやったことは、労働者派遣法の大改悪です。これまであった派遣受け入れ期間は「原則1年・最大3年」、3年たったら正社員にするという「期間制限」を取り払ってしまった。こうなりますと、非正規(雇用労働者)が増える一方になります。

 それから、「長時間労働の是正」とおっしゃいますが、やろうとしていることは、どんなに残業をやっても残業代を1円も払わなくてもよいという制度をつくる「残業代ゼロ法案」を押し通そうとしている。こんなことをやれば、過労死・過労自殺がいっそうひどくなります。

 いまやるべきは、残業時間の上限を法律で規制する(労働基準法)改正をやって、長時間・過密労働をなくす。労働者派遣法を抜本改正して、非正規から正社員の流れをつくる。最低賃金は時給1500円をめざす。一言でいって、「8時間働けばふつうに暮らせる社会」――これをつくるという方向の、本当の「働き方改革」を進めるべきだと思います。

天皇の退位について

「個人の尊厳」という日本国憲法の根本精神に照らし、皇室典範の改正を求めていく

 島田 天皇陛下の退位について伺います。小池(晃)書記局長が退位について、一代限りの問題ではないので、皇室典範で行うのが筋だと述べていますけれど、これは共産党としての方針と理解していいのでしょうか。

 志位 そうです。私たちは、(天皇の)退位について、政治の責任で真剣な対応が必要だと考えております。

 「個人の尊厳」という日本国憲法の根本精神に照らせば、一人の方に、どんなに高齢になっても仕事を続けることを求めるという、いまのあり方は見直す必要があります。

 その立場から、皇室典範の改正が筋だと(考えます)。高齢というのは誰にでも訪れるものであって、現天皇だけの特別の問題ではありません。ですから皇室典範の改正を求めていくという立場です。

憲法をめぐる議論にどう臨む

安倍改憲策動の二つの致命的問題点―「安倍内閣のもとでの憲法改悪に反対」で結束して

 島田 憲法をめぐる議論について伺います。衆参両院で、与党と憲法改正に積極的な勢力が改正の発議に必要な3分の2の議席を占めるようになりました。こうした改憲論議に基本的に反対をしてきた共産党。今後はどのように対応するお考えですか。

 志位 安倍首相の年頭からの発言を聞いても、かなり改憲に前のめりの発言をされておりますけれど、私は、安倍さんの改憲の動きというのは、二つの致命的な問題点があると思うんですよ。

 一つは、現行憲法のどこが問題で、なぜ変えなければならないのかを、具体的に示すことができない。ともかく改憲だという「改憲先にありき」。これは逆立ちした議論だと思うんですね。

 それから、もう一つは、「自民党改憲案」という、(憲法)9条2項を削除し、基本的人権を抑圧し、立憲主義を根底から壊すとんでもない代物を公式の改憲案に据えている。「こんな物騒なものを掲げている相手とは、まともな議論はできない」という声がいろんなところから起こっているのは、私は、当然だと思うんですね。

 この問題は、野党4党で、「安倍政権のもとでの憲法改悪は反対」という点で、党首間で合意しています。ぜひ野党共同のたたかいを進めたいと思います。

米トランプ新政権と日米関係

「日米同盟絶対」の硬直した思考停止では対応できない―対等・平等・友好の日米関係を

 島田 外交、そして安全保障についてお聞きしたいんですけれど、まずなんといっても、アメリカのトランプ次期大統領の登場です。アメリカのトランプ政権というのを、志位さんどう見ますか。

 志位 これは、トランプさんが勝った理由は、やはりアメリカ社会の矛盾ですね。新自由主義がずっとやられてきたために、格差が広がる、中間層が没落する。そういう矛盾があらわれたと思うんですね。

 ただ、今後のトランプ(次期)政権がどうなるかということを考えた場合にですね、これまでのトランプさんの言動などから見て、日本に対して軍事的・財政的な負担の強化を求めてくる可能性は大いにある。そのときに、これまでのような「日米同盟絶対」という硬直した思考では、これに対応できないと私は思うんです。

 たとえば沖縄でオスプレイの墜落がありました。ところが(墜落から)6日後には訓練を再開する。これを日本政府も認めてしまう。一昨日(6日)は、空中給油の訓練も再開する。(日本政府は)これも認めてしまう。アメリカのやることはなんでも賛成。「日米同盟のため」と言われたら、思考停止になる。こういう外交ではだめですね。

 この異常な従属体制を改めて、対等・平等・友好の日米関係に切り替える必要があると思います。

沖縄県の基地問題をどうするか

普天間基地は無条件撤去を求めて米国と交渉を―県内移設の議論では解決しない

 中川緑アナウンサー その日米関係を考えるうえでは、沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設計画が大きな課題の一つとなっています。共産党としては、沖縄の基地負担の軽減については、どう進めていくべきだと考えますか。

 志位 私たちは、普天間基地をなくすかわりに(辺野古)新基地をつくるというのは、負担軽減ではなくて、負担強化だと考えています。沖縄の北部全体を、海兵隊の一大出撃拠点につくりかえてしまうという動きです。辺野古の新基地そのものが、二つの巨大な滑走路をもち、軍港をもち、そして本当に機能の面では海兵隊は圧倒的に強化されることになりますから、こういう負担強化、これは絶対に反対です。

 普天間基地については無条件の撤去を求めてアメリカと交渉するべきです。これをどこかに移さなければならない、県内に移さなければならないという議論では解決しないということが、もう20年間ではっきりしたと思います。

南スーダンPKOについて

危険を危険と認めないのが一番危険―新任務撤回、自衛隊撤退、安保法制廃止を求める

 島田 南スーダンPKO(国連平和維持活動)の問題、一言どうですか。

 志位 これは、私、国会で安倍さんと何度も議論したんですけれど、あまりに無責任な態度だと思うんですよ。南スーダンが深刻な内戦状況にある、これは世界の常識ですよ。ところがこれを認めようとしない。それから南スーダン政府軍が国連PKOを攻撃している。これも国連の文書で明らかなのに認めようとしない。危険を危険と認めないというのが一番危険ですね。

 私は、こういう無責任な態度で「駆け付け警護」の任務を付与するということになりましたら、これは武力の行使になっていく。そして「殺し、殺される」危険が生まれてきます。私は、新任務の付与は撤回する。南スーダンから自衛隊は撤退する。そして安保法制は廃止する。これが必要だと思います。

 島田 今度の通常国会でもまさにそういう議論を突き付けていくと。こういうことですね。

 志位 そうです。

解散・総選挙にむけ野党共闘をどうする

昨年12月に4野党で実務者協議に入ることで合意―「本気の共闘」の体制をつくりたい

 島田 そして、解散・総選挙。そこを念頭に置きますと、共産党は民進党などとも連携を模索している。候補者調整に向けた話し合いもいま進んできている。一方で民進党の中で、先ほど蓮舫さんにも聞いたんですけれど、共産党とは理念が大きく異なるというようなことをいって、慎重な声も、連合の影響なども受けつつ、どうもあるようなんですね。志位>委員長としては、民進党に何を求めて、野党連携をどう進めていくお考えでしょうか。

 志位 さきほどの蓮舫さんのご発言でも、もうこれは課題ではなくて、実際に進めていくんだというお話でした。これは、昨年12月に、4野党の書記局長・幹事長会談が開かれまして、その場で、今後、政策実務者と選挙実務者の協議をやって、具体化を進めていくことを合意しています。ぜひこれが実るようにして、「本気の共闘」の体制をつくりたいと思います。

 中川 ありがとうございました。

 志位 ありがとうございました。


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