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2017年1月7日(土)

EU 多国籍企業の税逃れ抑止図る

税制協定 報告を義務化

国際NGO “小さな一歩 対策さらに”

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 【パリ=島崎桂】欧州連合(EU)は今月1日から、加盟各国政府に対し、企業との間で結んだすべての税制協定について情報の報告を義務付けました。多国籍企業の課税逃れ対策の一環で、一部政府による特定企業への特権付与を抑止する狙いがあります。

 導入のきっかけとなったのは、2014年末の「ルクスリークス」事件です。同事件では、日本企業を含む多国籍企業343社がルクセンブルク当局と極秘の税制協定を結び、総額数十億ドル(数千億円)に上る租税を回避していたことが暴露されました。

 報告義務が課される情報の中でも特に重要なのが、同一グループの企業間で売買される製品やサービスの価格(移転価格)です。多くの多国籍企業は、グループ内取引を繰り返すことで利益を経費として計上し、実質的な営業を行う各国での課税を逃れています。

 今回の措置によって、全加盟国がアクセスできるデータベースを通じた「自動情報交換」が可能となり、多国籍企業への課税の透明性向上が期待されています。

 ただし、報告が義務付けられるのは、12年以降に結ばれた協定だけという問題点もあります。ルクスリークスで判明した協定の大半は02〜10年に締結したもので、このほかにも機能中の協定は数多いとみられています。

 公正な税制を求める国際NGO「タックス・ジャスティス・ネットワーク」のアレックス・コブハム次期代表は仏メディアに対し、今回の措置は「重要な一歩だが、小さな一歩にすぎない」と指摘。「国家が課税額を操作し、多国籍企業を引きつける方策は他にもある」として、さらなる対策強化を求めました。

 また、EUの首相にあたるユンケル欧州委員長の姿勢を疑問視する声もあります。

 現在、課税逃れ対策に積極姿勢を示すユンケル氏ですが、ルクスリークスで判明した協定の締結当時は、ルクセンブルクの首相兼財務相でした。英紙ガーディアン(1日付電子版)は流出した資料を基に、ユンケル氏がEUの課税逃れ対策を長年にわたり「遅延、骨抜き」してきたと報じました。

 今後は、こうした汚名を返上し、より効果的な対策に踏み切れるかが問われます。

 タックスヘイブン(租税回避地)利用者の資産隠しを暴露した「パナマ文書」やルクスリークスで相次いで判明した「税の不公正」に対し、市民社会も抗議を強めています。

 世界各国の市民団体で構成する「公正な税のための世界同盟」は3〜9日を「反タックスヘイブン週間」と位置づけ、「金融市場の非武装化」と「公正な税の実現」を要求しています。


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