2017年1月7日(土)
笹子トンネル天井板
トラック接触 事故前に2回
中日本高速 対応せず 崩落誘発か
2012年12月に天井板が落下し9人が犠牲となった中央自動車道の笹子トンネル上り線で、落下した区間の天井板とトラックが接触する事故が、12年の崩落事故までに少なくとも2回発生し、トンネルを管理する中日本高速道路が適切な対応をとらなかったことが事故につながった疑いがあることが6日、技術者や大学教授らでつくるグループの調査でわかりました。(矢野昌弘)
技術者・学者グループが調査
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トラックの接触と12年の崩落事故との因果関係を指摘するのは「笹子トンネルの真相を探る会」。同会は、事故の原因究明を求め、関係者の刑事告発などを進めています。
中日本高速道路が作成した資料によると、トラックが接触して上りトンネルの天井板を損傷させた事故は明らかになっているもので3回。
このうち2回は、大事故で約140メートルにわたり崩落した区間の天井板に接触していました。
08年6月の接触では、路面から天井板まで高さ4・7メートルの同トンネルに、4・95メートルの高さオーバーのトラックが通行。3キロにわたって天井板と接触していました。
民営化を翌月に控えた2005年9月下旬には4地点で計540メートルにわたって接触した痕が見つかりました。
同会のメンバーで大阪経済大学の西山豊教授は「05年時点で、崩落した区間の天井板が接触しているのは、当時すでに天井板をつり下げるアンカーボルトが脱落し、天井板が下がっていた可能性がある」と指摘します。
同会は10トン車が時速70キロで接触したと仮定。試算したところ、天井板へ垂直に5トンから10トンの衝撃荷重がかかったと考えられます。
この接触事故に対し、中日本の対応は、いずれの接触事故でも「天井板の剥離箇所のたたき落としで対応」(同社資料)しており、傷ついた部分を除去しただけにとどまりました。天井板上部の状況を確認しませんでした。
当時の対応について中日本は「現在、山梨県警の捜査中であるため、答えは差し控えたい」と本紙の取材に答えました。
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